ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2016年6月14日更新ドイツの激安スーパー

ドイツにはいくつか大手ディスカウントストアチェーンがあり、中でもALDIとLIDLはいたるところで目にします。

老舗は何と言ってもALDIで、1913年にノルトライン=ヴェストファーレン州のエッセンという街で小さな雑貨店から始まりました。それが今や世界中に9000店舗以上を展開する大手に成長。ALDIはALbrecht DIscountの略で、アルブレヒト家の安売り店という意味ですね。

業態はいわゆるボックスストアで、ほとんどの商品は陳列棚にダンボール箱が置いてあるだけ。経費がかかる冷凍冷蔵庫などは最小限。扱う商品は9割以上がPBですが、中身は一流メーカーであることが多く、品質は折り紙つきです。

広告や広報も最小限で、ALDIの場合は新聞に「ALDIからのお知らせ」というごく小さな文字だけの広告がたまに載る程度。当然店員の数も最小限、300~500坪の大きさに多くて7人くらい。オペレーションも効率化され、日本ではIKEAで有名なコンベアタイプのレジがここでも普通ですが、面白いのは読み取り時間を最小限にするためタテが物凄く長いバーコードにしていること。

店内装飾は皆無で、色味のないPB商品のパッケージと相まって恐ろしく殺風景です。内容も商品と値段だけが書かれた超シンプルなもの。気になるお値段は、牛乳1リットルパックが0.6ユーロ、なんと約80円。お買い物しないお父さんは知らないかもしれませんが、日本ではディスカウンターでさえ100円切る牛乳はまずありません。

ALDIはアメリカでも1000店舗以上展開していますが、物価が高いニューヨークでさえALDIは1ガロン(3.8リットル)3ドル切ります。コストのかかる生鮮食品はほとんど扱いませんが、どのみちドイツ人はあまり生鮮食品を食べないので困りません。

ALDIの戦略は極めてシンプルで、とにかく経費をかけず低所得者層にフォーカスした商品を多店舗展開することで大量に仕入れ、圧倒的低価格を実現していることです。実際にこれで大成功しているのですが、面白いのはALDIの駐車場にはしばしば高級車がとめてあること。ポルシェやメルセデスEクラス、BMW5クラスなどですが、日本人的感覚では牛丼屋さんにロールスロイスがとまっているような違和感があります。

実際にドイツ人に訊いてみると、そもそも彼らはあまり食にカネをかけないため、品質が安定していて低価格なALDIは最高!なんだそうで、低所得者層だけでなく富裕層にも人気があるとか。

ALDIが大成功したので、LIDLやNettoなど同じモデルで参入する競合が多く出てきましたが、今もALDIは現役バリバリの老舗かつ最大手としてドイツ流通業界に君臨しています。

ALDIはアルブレヒト兄弟が経営していたのですが、ある日突然「Nord=北」と「Süd=南」に分かれ、今もそのまま二つの会社が共存しています。仲たがいをしたというのがもっぱらの噂ですが、上場しておらず経営者兄弟も公の場にまったく姿を現さない(インタビューも受けたことがない!)ので、真相は闇の中。不思議なことにお互い潰し合いをするようなことはなく、ドイツでは南北に分かれて展開、海外もちゃんと国ごとに棲み分けしています。

ちなみに、彼ら兄弟は世界でも長者番付に載るレベルの資産家で、総資産額は二人合わせて3.5兆円! 欧州トップクラスの金持ちです。超ドケチ経営で低所得者層を狙う激安スーパーの経営者が欧州一のお金持ち、なんだか皮肉に満ちた構図に見えてしまいますね。

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