ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2020年3月13日更新第20回総会・第97回定例会のご報告

 2020年2月14日、15日の両日、静岡県修善寺にて、第20回SNJ総会が開催されました。4月並みの陽気で、天候にも恵まれ、バラエティに富んだ内容の講演を参加者が熱心に聴講しました。

 初日の総会では、通常の議題に加えて、今回昨年4月に提案された規約の改定案が高橋主査より紹介され、改定案について審議されました。元々はドイツにあった国際本部Safety Network International (SNI)の支部として活動を開始したSNJですが、SNI解散後は、規約の内容が現状に即しておらず、改定が必要になりました。今回、現状に即した内容への変更が正式に承認されました。

SNJ主査、高橋教授(中央)と綱島教授(右)

 総会終了後、第97回定例会第一部(前半)が開催され、2つの安全についての講演がありました。まず、交通システムの安全について、日本大学生産工学部機械工学科の綱島教授にご講演いただきました。鉄道では、故障の未然防止や事故防止のため、状態モニタリングが活用されています。さらに、運転中の前頭葉の血流を測定することで、脳の活動をモニタリングし、運転行動の安全性向上を図る取り組みも行われています。今まではシステムの安全対策ばかりに注力していましたが、それを使用する人間の行動を知り、コントロールすることで、今後さらに効果的な安全対策を実現できます。綱島教授の言葉を借りると、「データがあればなんでもわかる」時代がもうそこまで来ています。システムと人間の行動を総合的にモニタリングし、最適な安全対策の実現できる日が近い将来訪れそうです。

 2つ目の講演は、安全は安全でも、家庭や職場のコミュニケーションの安全、と言うSNJでは異色の講演でした。この講演は、SNJ幹事会の雑談中に、寺田氏からシェアされた内容が非常に実用的で面白かったため、ぜひ総会で発表していただきたい、と言う依頼に応えて、寺田氏に急遽準備していただいたものです。最近話題になったある本から、女性脳と男性脳の違いや、よくある異性間のコミュニケーションの失敗例などが紹介されました。また、別の著作で紹介されている、潜在意識のコントロールによるパフォーマンス向上法についても触れられました。家庭や職場ですぐにでも実践できる内容で、参加者からは、もっと早く知りたかった、と言う声が続出でした。著作権上の理由により、この講演は骨子のみ議事録で紹介しています。

 2日目は、東京理科大学の渡辺教授による「通信ネットワーク信頼性設計・管理」と題する講演が開講されました。災害が発生すると、被災地の通信に必要なインフラが損傷したり、被災地に同時にアクセスが集中したりすることで、通信障害が発生する可能性があります。災害発生時に通信ネットワークが壊れなければ、被害状況や安否確認、避難生活に必要な情報などを入手できるため、減災に貢献できます。災害大国日本では、大災害が発生するたびに、災害の教訓を活かし、新たな災害対策を実施してきました。そのため、現在では我が国の通信網はかなりの高信頼性を達成しています。どのように通信網の高信頼化を実現して来たのか、信頼性の目標はどのように設定するのか、また実態値はどのように確認するのか、これらについて渡邊先生が解説してくださいました。

渡邊教授

 この他にも二日間、さまざまな技術的議論や参加者同士の交流があり、20回目のSNJ総会は盛況のうちに幕を閉じました。総会および定例会の議事録は第20回SNJ総会/第97回SNJ定例会議事録より、定例会の講演資料は、第97回定例会講演資料よりダウンロードしていただけます。SNJは年間を通して、会員を募集しております。安全技術の情報交換を通した、異業種間の交流に興味のある方は、ぜひご参加ください。お問い合わせ、お申込みをお待ちしております。

 

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