ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2017年8月25日更新青い海、白い砂、黒い沖縄

梅雨もお盆も終わったのに、全然晴れ間がなくコインランドリー大繁盛の首都圏ですが、私(川久保)はお盆前に毎年恒例、夏の沖縄旅行へ行ってきました。もうすでに12回目となった沖縄。首里城に美ら海水族館や斉場御嶽、玉泉洞といった観光地は一通り訪ねているのに、なぜかまた行きたくなる沖縄。最初の頃は「青い海!キレイなビーチ!沖縄グルメ!」といった定番メニューを消化しておりましたが、ここ数年は海にさえ入らずプールでまったり過ごし、昼はA&Wでハンバーガー、夜は宜野湾ラウンドワンでゲーム&カラオケと、沖縄らしさがほとんどない過ごし方ばかりしています。

では、なぜ沖縄くんだりまで出かけるのか? やはり他では味わえない、あの独特の空気感です。空気といっても、グスクや御嶽に漂う厳かな霊感ではなく、本土ではあまり知られていない沖縄の裏の顔です。海や砂なら本土でもキレイなところはたくさんある中、たびたび訪れるうちに沖縄ならではの「実態」に魅せられるようになってきた私。今回はそんな観光都市沖縄の裏側、現実の沖縄の少々クロい部分をいくつかご紹介します。

※下記はあくまでも個人的意見・感想であり、当社としての見解を代表したものではありません。

 

1. 人工ビーチの数々。公共工事が常にたくさん

沖縄には何十というビーチがありますが、実は天然のまま残されているビーチはほとんどありません。天然も瀬底ビーチなどゼロではありませんが、沖縄の海にはハブクラゲやアンボイナ貝など猛毒を持つ危険生物がたくさんいて、命を落とす方もいます。危険な種類のサメもしばしば海岸に現れますので、侵入を防ぐ防護ネットは海水浴場には必須です。こういった管理を徹底しようとすると、やはり天然のビーチよりサンゴ礁に砂を敷き詰めた人工ビーチのほうが都合がよく、観光客も安心して楽しめます。

なお、沖縄県民はあまり海で泳ぎません。朝や夕方にビーチで水遊びする人もいますが、ほとんどは中高生でしかも水着ではなくTシャツ短パン(あるいは学校の体操着)で、その下に水着を着るそうです。沖縄人いわく、「海は泳ぐところではなくバーベキューするところ」「日焼けで黒焦げになるのが嫌なので水着だけで海水浴なんて無理」とのこと。確かに、沖縄出身の芸能人でも仲間由紀恵さんや新垣結衣さん、比嘉愛未さんなど色白の方は多いです。

もう一つは、振興予算の使途として海岸整備が進められてきた背景があります。
沖縄県に対する振興予算は年間数千億円、累計総額で10兆円を超えています。この金額の是非はともかく、これらは沖縄県民に均等割りで支給されているわけではもちろんないので、当然ながら公共工事に使われます。つまりハコモノですね。

沖縄に行ってみると、巨大な建物や橋があちこちにあることに驚かされます。中部の今帰仁村(なきじんそん)には古宇利大橋という全長2kmにもなる長い海中橋があるのですが、総工費270億円をかけて懸けた橋の先にあるのは、人口360人の小さな古宇利島です。宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋はこれを上回る3.5kmで、総工費は380億円。

もちろん現在進行中の工事もたくさんあり、代表的なところでは沖縄唯一の鉄道であるゆいレールが、首里からてだこ浦西まで4駅延伸され、350億円。宜野湾バイパスと浦添港を結ぶ海沿いの橋を含む新道路は総額1,000億円にも上るそうで、私が沖縄に行き始めた12年ほど前からずっと大規模工事が目白押しのまま、いつもあちこちで大規模工事中です。

これらのハコモノと同じように、観光振興目的で沖縄県内の自治体が競うようにサンゴ礁を埋め立てて、38か所もの人工ビーチを作ってきました。(写真は名護市呉我の海岸工事。)もちろん青い海と白い砂は沖縄の貴重な観光資源ですから、それを活かさない手はないのですが、果たしてこれらのビーチほとんどが人工建造物であることを観光客は知っているのか? はなはだ疑問です。

現在、沖縄市にある泡瀬干潟の沖合に長さ900mに及ぶビーチを備えた巨大な人工島を建設するための埋め立て工事が進行中ですが、総面積は187ヘクタール。辺野古沖に建設する基地のために埋め立てる160ヘクタールより大きい上、泡瀬干潟は沖縄固有種が多く生息するとても貴重な干潟です。生態系を守るための反対運動は行われているのですが、なぜか全然報道されていませんし、辺野古反対の政治家も、泡瀬埋め立ては推進しているようです。

これら以外にも、那覇にある米軍軍港の浦添市移転計画は300ヘクタールの埋め立て、那覇空港第二滑走路160ヘクタール埋め立てなど、辺野古もかすむほどの巨大埋め立て工事がたくさん進行中です。

工事がたくさんあるということは、建設業にとっては大きなメリットで、本土の人はほとんど知らない國場組や金秀建設といった地元大手ゼネコンの存在感は当然大きくなります。東京商工リサーチが毎年発表している、全国の建設業完工高ランキング沖縄県版をみると、トップ10はすべて沖縄の企業で、本土のゼネコンは皆無。毎年のように景色が変わる沖縄で目立つのは基地の返還跡で、今年はキャンプ瑞慶覧(ずけらん)とキャンプキンザーが更地になっていて、跡地活用の工事中でした。いつ行ってもゼネコンは相変わらずの活況です。

なお、金秀建設の親会社である金秀本社会長 呉屋守将氏は、翁長県知事の選挙対策委員長でした。一方、対立候補だった仲井真前知事は國場組から支持を受けていることを公にしていて、もはやソンタクどころではない完全密着ぶりですが、それを問題視する報道も全くないのが沖縄の凄いところです。

2. オスプレイは意外と人気

「オスプレイ=危ない」という論調の報道しか出てこないMV-22型輸送機オスプレイですが、ここでは危ないかどうかの議論は致しません(現実問題として、一機約100億円の輸送機が訓練を積んだ兵士とともに墜落したら一番困るのは米軍です)。すでに配備から5年経った沖縄で、私が実際に聞いた地元の方の見解は、概ねこんな感じです。

まず、ホテルの従業員の方。
「オスプレイ? 静かでいいですね。元々ヘリはバタバタとすごくうるさくて、ローターが2つのタイプなんて、近くを飛んでると本当に会話できなくなるくらいでした。オスプレイはちょっと高度が上がると、全然聞こえない」

コンビニ店員の方。
「オスプレイ、よく飛んでますよ。見た目が全然違いますからすぐわかります。そもそも飛んでるのはオスプレイだけじゃないし、特別気になることはないです」

宜野湾海浜公園ランニング中に遭遇した地元ランナーの方。
「あれ、かっこいいですよね! 元々戦闘機も好きなんですが、オスプレイは美学を感じます」たまたま軍ヲタの方だったのでしょうか。

嘉手納基地に隣接する道の駅かでなで出会った、タッチアンドゴーを狙うカメラ小僧。
「事故率見ればオスプレイより、目の前で飛んでるF-22のほうがはるかにヤバイでしょ。爆音もケタ違い。でもF-22ハンタイ!って騒がないよね。個人的には普天間基地入口の反対派のほうがはるかにうるさいし危険だと思う」

もちろん反対する人もいますが、沖縄にはオスプレイファンクラブも存在しており、行って話を聞いてみると、全島挙げて大反対というわけではないことはわかりました。

3. 先島諸島との関係

前職で日本最西端の与那国島へ行ったことがあります。当時人口1,500人程度の小さな島で、空港はあるものの、一日4便。コンビニはもちろんなく、レストランと呼べるような食堂は、空港内にある10人程度の食堂だけ。過疎化の一途をたどっていましたが、2016年に陸上自衛隊とその家族が引っ越してきて、人口がいきなり250人増えました。

私が訪ねたのはその前だったのですが、ある家の塀には「自衛隊反対!」と横断幕があり、そのすぐ隣の家には「自衛隊歓迎!」の幕があるという状況に「ご近所同士、大変だなー」と感じました。


太陽光発電装置の設置工事でお邪魔したお宅で昼食を御馳走になったのですが、その時に島の方から伺ったお話です。

「与那国は元々独立国だったが、16世紀になって琉球王朝に武力制圧されてしまった。琉球時代の重い人頭税で苦しんだ過去もあり、今も沖縄本島に対する感情は決してよくない。」

先島諸島に関する予備知識がほとんどなかった私は驚いて、人頭税(収入に関係なく一律徴収される税金)のことなどを色々教えてもらいました。与那国島には久部良バリという断崖の割れ目のような場所があるのですが、村中の妊産婦に幅3メートル近くもある岩の割れ目を強制的に飛ばせ、落ちたら助けず、助かっても流産すれば人頭税が増えなくて済む、というような蛮行が行われていたそうです。誰もやりたくてやったわけではなく、本当は歓迎したい子宝さえも犠牲にしなくてはならないほど苛烈な税だったということです。下の写真は、現在の久部良バリです。

もちろん廃止されて久しいのですが、現代の過疎化に対しても沖縄本島は何もしてくれず、高校がないために若い人は皆本島や本土へ行ってしまう、と嘆いていました。
同行した地元施工業者の方に聞いても、石垣や宮古の方々は、沖縄県民ではあっても沖縄本島に対する感情は相当複雑なものがあると言っていました。そうした感情の是非はともかく、島人(しまんちゅ)と沖縄人(うちなんちゅ)との間にある溝を含めて、何もわかっていなかった自分を恥じるばかりでした。

昨年、4日間滞在した後に那覇空港から東京行きの飛行機に乗って離陸を待っていたところ、機内アナウンスが「只今、自衛隊機の緊急発進がかかったため、当機はしばらく滑走路にて待機します」と告げました。ほどなくして乗っていた全日空機の前に空自F-15の2機編隊が現れ、轟音と共に飛び立ちました。沖縄での対中国機スクランブルは昨年史上最多の803回、毎日2回以上は確実に緊急発進している計算であり、軍民共用の那覇空港はそのたびに民間機をストップさせています。803件のうち、7割は対中国軍機だそうです。

昨年沖縄を訪れた中国人(香港含む)観光客は64万人。今年も、どこに行っても中国語が飛び交っているのですが、彼らはおそらくスクランブルのことなど知らないでしょう。

さまざまな文化や歴史を飲み込みつつ、他のどこにもないチャンプルー文化を築き上げてきた沖縄。私など単なる観光客ですが、青い海とホンワカしたイメージに癒しを求めて本土都市部から移住するリタイヤ組の多くは、甘い期待を完膚なきまでに粉砕する真の沖縄になじめず挫折したあげく、ナイチャー(内地人)だけで固まったコミュニティを作っているそうです。

そんなディープな沖縄をヨソモノとして垣間見てきた私としては、移住などつゆほども考えず、気楽な観光客としてこれからも沖縄の「妙味」を少しずつ味わっていきたいと思います。

 

記事一覧

ページの先頭へ戻る