ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2016年10月19日更新第2回  CETサービスエンジニア 中川 【後編】

「事業は人なり」と言ったのは、かの松下幸之助氏ですが、人がわかれば会社がわかる。ピルツジャパンにはどんな「人」がいるのか?を白日の下に晒して行けば、うちの会社がどんな会社なのか、自然とわかっていただけるのではないか? そんな大いなる野望を持って、このコーナーはスタートしました。大袈裟なタイトルに恥じないように「熱き情熱」を注いで、“ピルツ人”を赤裸々に描いていきたいと思っています。

ということで、「中川ストーリー 後編」をお届けします。機械安全のスペシャリスト、CETサービスエンジニアの中川は、今までの人生経験をふまえて、機会安全に対する想いを語っていただきましょう! 聞き手はお馴染み、「楽しくわかる安全知識」の主人公 Pちゃんです。それでは後半も、ハリキッてスタートです。
スクリーンショット 2016-10-18 10.40.06

◆中川氏が持つ、意外な現場経験とは?

 

_中川=現場、現場=中川と言っても過言ではない程、現場での活躍が光る中川さんですが、今までどんな現場に携わってきたんですか?

中川「えっと、それはピルツジャパン以前、ということですか?」

_はい。率直に言うと、その通りです。

中川「えっとですね。実は、某映画のテーマパークに長いことおりまして、その立ち上げから参加しているんです」

_え? テーマパーク? それは面白そうですね!

中川「そこは以前、造船所と鉄工所があった場所でして、“予算5億でよろしくね!” “開業日はいつだからね!”という感じで、無茶ぶりされまして…(笑) コンセプトは決まっておりましたが、詳細は未定。現場に行っても、広々とした一面の野原!という状況でした。これを一体、どうすれば・・・?という想いも在りましたが、逆に言うとアイデア次第で何でもできるってことですからね。とりあえず前向きに、いろいろやってみました」

中川「たとえば、ミサイルのシステムを応用して何か作れないかとか、海のないところに海を出現させるのはどうしたらいいかとか。二次元の映画の世界を現実に持ってくるわけですから、フツーに考えていたんじゃ、間に合わないというか…」

_奇抜な発想が求められた?

中川「まぁ、そうですね。でも、奇抜なだけでは実現しませんから、実際にモノを作るために、フォークリフトを運転したり、潜水士となって海の中に潜ったり・・・何でもやりました(笑)」

_そのために免許を取ったんですか?

中川「まぁ、そういうものもあります」

_へぇ〜、すごいなぁ〜。でも、面白そう! 大変そうだけど・・・

中川「楽しかったですよ。体力的にはキツイときもありましたが、それは若さでカバーして(笑)。遊戯施設なので、安全すぎても楽しくない。とはいえ、度を越してしまい、事故が起きたらそれこそ大問題です」

_おおっ、まさにテーマパーク経験者ならではのコメント! せっかく遊園地に行ったのに、「安全のためゆっくり走っています」なんていうジェットコースターがあったら、それこそ「なんでやねん!」とツッコミをいれたくなりますからね。

中川「ありがとうございます。安全は確保しつつ、ギリギリのところでスリルを味わってもらえるように作り上げなければなりません。そのリスクをどこまで許容できるか? このリスクリミットを何処に置くかについては、まさにカラダで覚えた感じです」

_おおっ! その経験が今に生きているんですね!

中川「はい。扇風機の羽根に指を突っ込んだくらいでは、人は死にはしませんよね。ちょっと痛い思いをするくらいで済みます。でも、それが大きなプレス機だったらどうでしょう?」

_わ〜っ、考えただけでも怖いです。

中川「ですよね。このように、機械ごとにリスクリミットの置き場所は、まったく違ってくるんです。もっというと、どこまで受け入れられるのか?という話につながっていきます。よく「人命第一」と言いますが、命が助かれば四肢がなくなってもいいのかといった、非常にシビアなところまで、考えていなくてはなりません」

_なるほど・・・。勉強になります。

 

リスクは「ゼロ」にはならない ならばどうするか?

 

中川「遊戯施設の場合のリスクリミットはスリルと安全性に置きましたが、これが製造の現場では生産性と安全性ということになります。いくらがんばってもリスクはゼロにはなりません。ならば、どのようにリスクとつき合って行くか? リスクを限りなくゼロに近づけていくには、どうしたらいいか? ということを、お客様と一緒に考える。それが私が今やっている仕事なんです」

_いくら万全な安全対策をとっていても、想定外のことって起こりますからね。

中川「そうなんです。そこがとっても大切で、むしろ「ゼロにはならない」ことをちゃんと受け止めて、そこをスタートラインにすることが大切だと、私たちは考えています」

中川「ただ、日本の企業の中には、リスクをなくそう、ゼロにしようと考えてしまうところも少なくないんです。ゼロリスクにこだわることこそが危険なのではないかと」

_なるほど〜。奥が深い問題ですね。危険をなくそうとすればするほど、見えなくなることがあるような…

中川「それでも、3.11以降、リスクに対する考え方が変わってきています。あんなに「絶対安全だ」と言われていた原発が、ご存知のような状況になってしまった。あれを目の当たりにすれば、誰もが現実を見ないわけにはいきません。最悪の事態は避けられるようにしておきましょうよ、と」

_確かに、あの災害は衝撃でした。日本は台風も地震も多いですから、あの教訓を活かしたリスク管理を広めて欲しいです。

 

機械は壊れる。人間は間違える。を前提に

 

中川「早い話が、機械は壊れるし、人間は間違えるんです。この当たり前のことをすっ飛ばしてしまうと、リスクと上手くつき合って行くことはできないと思うんです」

_そうですよね。ボクなんか、しょっちゅう間違えてばっかりですから。

中川「事故が起きました。原因を調べます。機械の故障なのか?それとも人為的なミスが原因だったのか?と、あれこれ探って行きますよね。 でも、たとえ人為的なミスが発生したとしても、間違った操作をしたら即座に機械が止まるしくみがあったら、事故を未然に防げたかもしれません。いえ、その前に、そもそも危険な箇所に人間が接近できないようになっていれば、事故は起こらないはずなんです」

_そのようにアドバイスして行くのが、中川さんのお仕事なんですね!

中川「とはいえ、今まで無事故で来ている工場で、システムや作業工程を見直すとなると、それこそ一大事業です。“今まで大丈夫だったから大丈夫”という思いに新しい風を吹かすのは、正直難しいことも多いんです。

中川「さらに、これ以上生産性を下げられない。下げたくない。コストもかかるし…という思いもよくわかります」

_なかなか事情は複雑そうですね。

中川「でも、「今まで大丈夫だった」ということと、「明日も大丈夫なのか」「10年先はどうなのか」は、全く違う話なんです。なので、今まで何事もなかったことは大いに誇りに感じていただき、将来に向かって考えられるように、いろんな視点からお話しして、理解していただくことが、私のミッションなんです」

_素晴らしい!!

中川「バイクの神様と言われる本田宗一郎さんの言葉に“安全なくして生産なし”という名言があります。私はバイクが好きで、よくコースを走るんですが・・・」

_え?バイク?コース?

中川「そんなに意外ですか? こう見えてレーサーなんです(笑)ロードレースに出て、スピードを競ってるんですよ。まぁ、それは置いといて、生産性の話に戻りましょう」

中川「現代の複雑な事情ゆえに、先の本田宗一郎の言葉をもじって「安全”無くして”生産あり」なんて揶揄されるようになったりもしています。でも、現場はもちろん、経営陣もみな、安全や人命が大切なことは、よくわかっているんです。でも、実行できていない。わかっちゃいるけどなんとかで、私たちが向き合っていくのは、この【わかっちゃいるけど】の部分なんです」

_わかっちゃいるけど、やめられない?

中川「それを言うなら、“わかっちゃいるけど、やってない“ですかね。皆さんいろんな事情を背負ってはいらっしゃいますが、お話ししていくうちに、第三者に背中を押してもらいたいと思っている人も、たくさんいることがわかってきました。自分に置き換えて考えれば、それもそうだなと。ですから、私がじゃんじゃん背中を押して行きたいと思っています」

_なんと頼もしい!

中川「そうするためには、私自身が「この人になら押してもらいたい」と思える人間でなければなりません。知識や技術はもちろんですが、いろんな立場の方の声を聴き、気持ちも状況も理解したうえで、みんなにとって最善な環境を作り上げるための縁の下の力持ちになる。そんな心意気で、日々現場に足を運んでいます」

_中川さん、カッコいいです! では、最後にもっとカッコいいお姿を見せしちゃいましょう!

中川「ほんとはもっとヒザすれすれのコーナリングしてるんですが、その写真が見つからなくて…」

_もう十分カッコいいです! 素敵なお話、ありがとうございました!


nakagawasan3

 

記事一覧

ページの先頭へ戻る