ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2018年6月20日更新はさまれ・巻き込まれの災害防止につながる安全措置とは?
~停止監視アプリケーション例(前編)~

身体の一部や命を失うという致命的な事故となりがちな、はさまれ・巻き込まれによる事故。労働安全衛生法にて「事業者は、はさまれ・巻き込まれなどを含む職場の事故で、労働者に大けがや死亡の危険がある機械には、安全対策を施して、作業者を危険から守る義務がある。」と定められています。

日本では昔から作業者への教育によって安全を確保しようとする傾向がありますが、なかなか減らない機械災害の現状からしても、教育を行うだけでは安全対策の限界があります。そこで重要なのが「機械安全の考え方」です。

この「機械安全の考え方」とは・・・
「人は間違え、機械は壊れる」ということを前提とし、機械設備の危険源を無くします。機械設備の構造を変えたり、作業工程を変えたりすることにより危険源が全て無くなれば、それがベストなのですが、ほとんどの現場において、なかなか全ての危険源を無すことは出来ないのが実情です。その残った危険源に対して、付加装置(安全装置、防護柵、安全監視など)を追加して保護方策をとります。そして、そういった追加の保護方策の後でも残ってしまう危険源に対しては、「使用上の情報」として機械設備のユーザー側に伝え、危険源の管理を委ねます。
このようにして機械の安全を確保するのが、機械安全の考え方です。

 

ここで、典型的な機械災害(はさまれ・巻き込まれ)の事例をちょっと振り返ってみましょう。

✓ 機械の稼動中に、機械内部の掃除や詰まりを取り除くために手を入れてしまい、手が回転部分に巻き込まれた。
  → 機械が停まっていれば良かった…

✓ むき出しだった機械の危険な部分に、人が触れてしまった。 
  → 危険な部分がむき出しでなければ良かった… 

✓ 危険な部分はカバーで覆われていたのだが、人がカバーを開けて中に手を入れてしまった。
  → カバーが開いたら機械が停まれば良かった…

✓ 機械にトラブルが起きたため、メンテナンスを行った。問題が解決した途端に、機械は予期せず動き出し、そこで人がはさまれた。
  → 電気が入っても安全が確認されるまでは機械が動かない仕組みだったら良かった…

どれを見ても、「動いている機械」と「人」が接触しなければ、悲惨な事故は起きませんでした。

 

先ほど出てきた、”機械安全”の考え方で見てみると、まずは、はさまれ・巻き込まれ事故が起きる原因(危険源)を設備の設計段階で取り除く、もしくは減らすことが大事です。
そして、取り除けなかった危険源に対し、追加の保護方策を施します。
追加の保護方策の内容とは、

(1)機械と人が接触しないようにカバーを取り付けたり、稼働中の機械と人を隔離するための安全柵を取り付けたり、

(2)「機械は安全が確保できている間だけ動く」「機械の安全が確保できなくなったら停める」といった安全機能(=このような仕組みを“インターロック”といいます)を、安全装置を使うことによって機械設備側に持たせることです。

 

このインターロック機能を機械設備側が持っていると・・・

◆ 安全扉/ガードが開いたら、機械は止まる。
◆ 人が近づいたら、機械は止まる。
◆ 人が安全柵の中に入り、機械の近くでラベル貼りや材料の充填などのセットアップ作業を行っている時、機械は止まっている。
◆ メンテナンスなどの、人が近くで作業をしている間は、機械は危なくない(危険が及ばない)速度で動く。
◆ 機械の予期せぬ起動が防げる。

といった、安全な仕組みが実現します。

 

はさまれ・巻き込まれ防止の保護方策として、機械の動き(=モーション)を監視する安全機能が備わった安全装置がおすすめです。つまり、機械が止まっているのか、動いているのか、どのくらいの速さで動いているのかを監視する安全装置です。

機械の動きを監視し、人との接触が起きる前に機械を停めます。もしくは機械が停まるまで人は近づけない、といったようなインターロック状態を保ちます。

加えて、機械の動きを監視することには、はさまれ・巻き込まれ事故を防止する以外のメリットもあります。その他のメリットとは:

*機械がオーバースピードで動いてしまうことを防げる

→ 例えばコンベアや作業工程の速度が出過ぎてしまった場合、スピードオーバーにより、モノや設備が壊れてしまうような事態が起きかねません。そのような事態が起きないよう、速度が出過ぎないように機械を監視することができます。

*機械が逆方向に動いてしまうことを防げる

→ 例えば食品加工の充填プロセスなどの、機械の動く方向が重要となってくる工程で、機械の動く方向を監視します。逆方向に機械が動くと異物が混入したり、設備が汚れたりするのを防ぐことができます。

 

それでは、はさまれ・巻き込まれ災害の防止策として役立つ、安全装置を使った保護方策のアプリケーション例をご紹介します。今月から計4回に渡りお伝えする予定です。(全3回に変更となりました)

アプリケーション例の紹介 その1 停止監視【前編】
アプリケーション例の紹介 その2 停止監視【後編】
アプリケーション例の紹介 その3 速度監視【前編】
アプリケーション例の紹介 その4 速度監視【後編】

 

今月は、”停止監視”のアプリケーション例の紹介(前編)”として、「安全リレーを使った停止監視」のアプリケーション例をご説明します。

ここで使用するのは、回転停止監視用安全リレー「PSWZ X1P」です。設定スイッチにてモーターの停止確認電圧を設定し、測定電圧が停止確認電圧まで下がると、安全出力が入り(=ONとなり)安全状態が確認されます。安全が確認されているので、カバーや安全扉が開いてもOKな状態となります。

ピーちゃん
その動きをデモ機で再現しました。こちらの動画をご覧ください。

(↑クリックすると動画のページが開きます)

 

デモ機の構成は以下のようになっています。

 

PSWZ X1Pの停止監視により、モーターが動いている間は、安全扉はロックされた状態を保ちます。モーターが停まっていることが確認されると、安全扉のロックは解除されるという仕組みです。

それでは流れを追って見てみましょう。

ピーちゃん
モーターが動いています。つまり、機械が稼働している状態です。(モーターでファンが動き、吹き流しが揺れています)

 

ピーちゃん
モーターが動いているため、安全扉はロックされています。開けようとしても、開きません。

 

ピーちゃん
モーターを停めてみましょう。

 

ピーちゃん
モーターは止まり、機械の停止と安全が確認されました。安全扉のロックは解除され、扉が開くようになりました。

 

ピーちゃん
再び、モーターを動かしてみましょう。

 

ピーちゃん
モーターが動き出した途端に、安全扉はしっかりとロックされました。安全な状態ではないので、扉は開きません。

 

ここで使用した回転停止監視用安全リレー「PSWZ X1P」では、エンコーダや近接センサといった追加のセンサが要らないので、その分手軽に停止監視が導入できます。「機械が動いている間は人が入れない」という安全な隔離を実現してくれる保護方策です。

次回は、”停止監視のアプリケーション例(後編)”として「安全コントローラを使用した停止監視」についてご紹介する予定です。

 

記事一覧

ページの先頭へ戻る