2019年3月26日更新EC自己宣言書って何ですか?
「CEマーキング」に関する手続きの中に、「自己宣言書」という書類があります。これはどういった書類なのか、教えてください。
EU圏内で販売する製品について、その製品が関連する指令(EUの法令)の要件を満たしていることを証明する宣言書です
以前、「ヨーロッパの製品に良く見かけるCEマーキング。これって何?」の記事で簡単にご説明させていただきましたが、EUには「CEマーキング」という消費者の健康や安全を守り、自由な流通と販売を行うために製品を監督する仕組みがあります。EUで販売される製品へのCEマーキングの貼り付けは、法律で義務づけられています。
CEマーキング貼り付けまでの大まかなプロセスとは・・・
適用する指令の選択から始まり、適用する指令ごとに定められた規格の中から関連する規格の選択を行います。第三者機関による評価が必要かどうかを判断したり、製品試験や適合性評価を行って製品が規格の要求事項を満たしていることを確かにします。それらを技術文書にしたら、もうすぐゴール。なのですが、その最終的な「CEマークの貼付」の前に、製品が要求を満たしていることを「自己宣言」するステップがあります。その「自己宣言」に必要な書類の1つが「EC適合宣言書」です。適合宣言書は、「自己宣言書(Declaration of Conformity)」とも呼ばれ、完成品と半完成品の2通りあります。
<自己宣言に必要な書類>
● EC適合宣言書 (付属書II)
● CEマークがついたラベル (付属書I)
● 取り扱い説明書 (付属書I)
● 技術ファイル(付属書VII)
ちなみに、このCEマーキングのプロセスを踏まずに宣言だけを行うことは法律違反で、違反が判明した場合には処罰を受けることになります。EU市場での販売の停止、市場からの撤収などだけでなく、拘置または反則金などの指示が出されたり、メーカ名が公開されるなどの罰則があります…。
こちらが、EC自己宣言書のサンプルです。
完成品の場合、以下の内容を記述します。
■ 製造者、およびその正当な代理人の、名称および完全な住所
■ 技術ファイルを編纂する正当な者の氏名および住所、EU域内で公認された者
■ 一般的な名称・機能・モデル・型式・製造番号・商品名
■ 指令、すべての関連規定を満たしていることを明白に宣言する文章
■ 宣言の場所および日付
■ 製造者、または代わって宣言書を作成する権限を有する法的代理人の、身分証明と署名
EU以外の(EUに所在を置かない)製造メーカでも、このプロセスを経てCEマークを製品に貼り付けることができます。EC自己宣言書への署名も製造者(もしくは法的代理人)が行えます。しかし、技術文書をまとめる権限をもったEU在住の者(※)の氏名と住所を、この「EC自己宣言書」上に記述する必要があります。
※製造メーカから提供された技術文書をまとめる役目を負うだけで、技術文書の内容に対する責任は負いません。
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