2016年7月12日更新EC指令とは何ですか?
CEマーキングの表示の際に適合させる必要のある「EC指令」とは一体何ですか?
EC指令とは、European Communities Directiveの略省で、EU内で制定されている法令のうちの一つです。
ここでEUでの法令について少しご説明しますね。
EUでの法令には”一次法”と”二次法”という枠組みがあり、”一次法”というのが「欧州連合の条約」、つまり憲法のようなものにあたります。
そして、それら「条約」に従って制定されたものが”二次法”。下記の5つに分かれ、それぞれの適用範囲や拘束力の強弱には違いがあります。
上記のとおり、「規則」は加盟国に対し直接適用されます。仮にEUを一つの国だとすると”EU国の国内法”といった感じでしょうか。
それに対し「指令」は、加盟各国での国内法との置き換えを求めるもので、その置き換えられた国内法が各国で適用される、という仕組みになっています。
その国内法への置き換えの際、各国である一定の判断が行えるようになっているため、国によって多少の違いが出てくるようですが、それは「指令」の目的が”国内法の調整”だからとのこと(それに対する「規則」は”国内法の統一”が目的)。国ごとの特徴を反映させる余地を残しているのですね。
例えば労働時間に関する指令では、休憩時間や一週間の労働時間の上限を定めていますが、どのようにそれらの決まりを適用するのかは各国で決めることができる、という具合です。
ちなみに、「指令」の国内法への置き換えには期限が定められており(通常2年以内)、欧州委員会が遵守しているかどうかを調査しています。もし守らなかった場合、最終的にはEC裁判所に訴えを起こされてしまうなんてことが…。
実は現状、国内法への置き換えが期限に間に合わない問題は起こり続けているようです。
そのため欧州委員会は、(1)置き換えが期限に間に合ったか? (2)目的に沿って正しく置き換えられたか?をチェックしていて、違反率を1.0%以下にすることが現在の目標とのこと。2015年の全体平均の結果は0.7%と目標を達成しましたが、個別に詳細を見ると意外とほとんどの国において違反が…。
気になるあの国はどうなのか?好成績をキープしているのはどこの国?
こちら欧州委員会のHP↓にてご覧いただけます~(英文のみ)
欧州委員会スコアボード
EUでは日々、国境を超えた”一つの市場”をキープするために、加盟各国の努力が続けられているのですね。
その”一つの市場”での製品(※)の自由流通に重要なCEマーキング。その表示には「EC指令」への適合が必要です。EC指令はEUでの経済活動と人々の安全な暮らしに欠かせない大事な法令なのです。
※EC指令の中のニューアプローチ指令に該当する製品
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