2016年11月16日更新国際規格のJIS化とは?
JIS規格の国際規格への整合性を意味します。
日本の工業規格であるJIS規格が、国際規格の内容と整合されていく、つまり、国際規格に準拠してそのまま国内規格が策定される傾向が強まっています。
世界で共通のスタンダードを共有することにより、世界の標準が日本国内でも標準となりますので、日本で作る設備や機械を、各国の技術基準に適合させることが基本的に可能になります。世界の規格がいずれ日本のJIS規格に反映されていくことになりますので、国際規格の動向に着目するということは、今後の日本国内での規格がどのようになっていくのかを先に知ることができます。もちろん海外の市場を相手にビジネスをしている場合には、国際規格は常に直接関わってきますので、より目が離せないということは言うまでもありません。
国内規格が国際規格と整合されることになった大きな要因
1995年に発足したWTO(世界貿易機関)のTBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)により、加盟国はその国の国家規格の類似する箇所について、ISOやIECなどの 国際規格に合わせていくことが義務づけられました。日本もWTO加盟国として、日本の国家規格(JIS規格)を国際規格に合わせていく流れとなり、日本の国家規格と国際規格の切っても切れない関係が進んでいます。
グローバル化が進む社会では国際規格の標準化は必要な流れ
国際規格の一番の目的は、国際貿易を円滑に進めること。WTOの発足も、第二次大戦の一因にもなった世界恐慌と、それに伴う保護貿易を反省したもので、モノが国境を越えて自由に流通する際の壁となる国によって異なる規格や評価基準などを統一させることが必要でした。
おそらくTBT協定がなくても、貿易国家日本にとっては、国際規格の存在は無視できなかったでしょう。たとえ製品が日本のJIS規格をクリアしていても、国際規格には沿わず、そのため海外の市場に出せなかった…、なんてことでは、国外を対象としたビジネスの展開は難しくなります。
また、国際規格のISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)を取得していることにより、海外の企業と取引を行う際に相手企業から信頼を得られ、取引相手として認めてもらえる、という面もあります。
そして、多くのモノを海外からの輸入に頼っている日本としては、安全な製品を国内市場に流通させたいもの。規格に適合した原料や製品を輸入したいですし、逆に、日本の水準が国際規格となれば安心ですよね。国際規格の標準化に日本も参加するということは、単に国際規格が日本の規格に置き換えられていくだけではなく、日本の標準を世界の標準に反映させるチャンスにもなります。そのため、国際規格の策定に日本が積極的に参加することも大事です。
今やこのグローバル社会では、国際規格と日本の規格の結びつき、そして国際規格の標準化の流れは無視できないものとなっています。
EN規格は国際規格に大きな影響を与えています
欧州の「EN規格」も、EUという経済地域内での貿易障壁をなくすために、EU加盟国の国家規格として標準化された規格。その欧州での規格が、そのエリアを超えて国際規格もに大きな影響を与えています。それは、今日の多くのEN規格は、国際規格(ISO規格やIEC規格)として、国際規格を発行している組織(ISOやIEC)と共同で開発されているためです。
EN規格を発行している標準化組織は次の3つに分かれます。
そして、国際規格を発行している代表的な標準化組織は次の3つ。
CENとISOは、1991年にウィーン協定という、EN規格をISO規格として採用し、ISO規格もEN規格として採用する協定を結びました。そして、CENELECとIECも、1996年のドレスデン協定という同様の協定で結びつきを強めています。これらの協定により、お互いの組織との情報交換や規格の採択の際には並行投票を行うことができます。
ETSIにおいては、EN規格の制定に際してCENとCENELECとの共同体制を持つ他、国際標準化機関のITUとも連携しています。
さらに、国際標準化機関どうしの連携が必要となり、2001年にはWSC(World Standards Cooperation)が設立され、ISO-IEC-ITU間の連携も強まっています。
上記の通り、EN規格の発行組織と国際規格の発行組織の間の連携が強化され、その結果、欧州の技術基準が国際規格に反映される傾向が強まっています。
ISOやIECなどの国際標準化機関には、日本を始め世界の多くの国が参加していますので、けして欧州の独断ではありません。日本からは、JIS規格を策定しているJISC(日本工業標準調査会)が参加し、これまでに2名の日本人がISOの会長として就任するなど、日本も積極的に標準化活動に参加をしています。
しかしながら、実際のところ、国際規格の策定に関わっているWG(ワーキンググループ)は欧州の国々が多く、アジアからは日本・中国・韓国の参加が主となっていますが、そのようにまだ数が少ないのが現状。採択の際の投票数にも差が出てしまいますし、欧州中心の国際規格作りとなっています。
つまり、【欧州の規格 → 国際規格化され → 日本のJIS規格へ】という流れになっているとも言え、欧州先行の傾向となっています。
世界の貿易をスムーズに、そして消費者側に安全な製品を市場に流通させるためにも、国際規格という世界共通のスタンダードを持ち、異なる部分はそれに合わせていくということは大事ですが、日本が先行できる技術そして標準があれば、国際市場での競争において有利になる面があります。”ルールは決める側に有利”というのはどの世界でも言えることだと思いますので、国際標準化活動への日本のますますの積極的な介入が求められています。
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