ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2018年12月19日更新ボヘミアン・ラプソディ

 どうも、アラフィフおやじです。

 今日は巷で話題になっている「あの映画」の話です。

 

 皆さんは、もうすでに「あの映画」をご覧になったでしょうか。

 そうです、イギリスを代表するバンドの一つであり、トータル2億枚以上のレコードを売り上げたといわれる伝説のバンド「クイーン」を取り上げた伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」です。

 往年のクイーンのファンだけでなく、幅広い世代にアピールすることで新たなムーブメントを巻き起こしたこの映画を、アラフィフおやじは公開されてすぐに見に行きました。日本でのクイーンのブームはデビュー後の1970年代の第一次ブーム、キムタクのドラマで主題歌がキッカケとなった2004年の第二次ブームがありましたが、間違いなく今回、この映画によって新たなファンを獲得し、第三次ブームが起きるとアラフィフおやじは確信しています。そのくらいインパクトのある映画でした。

 映画の内容については…それこそ山ほどネットに映画のレビューが掲載されていますので詳細はそちらに譲ることとして、ここではアラフィフおやじの視点でクイーンというバンドやこの映画について感じたことをお話したいと思います。

 アラフィフおやじが初めてクイーンというバンドを知ったのは70年代後半の小学校高学年の時だったと思います。アラフィフおやじには4つ年上の姉がいて、姉の部屋にはレコードプレーヤーがありました。隣の部屋にいた当時小学生のアラフィフおやじはオーディオらしきものを何も持っていなかったので、姉の部屋から漏れてくる音楽を聴きながら育ったのですが、姉が当時聴いていた洋楽の中でも、クイーンは音楽的には別格という感じでした。

 クイーンのメンバーは天文学、生物学、電気工学等を専攻したインテリぞろいで、ルックス的にも少女漫画に出てくるような美少年ばかりだったので、姉はすぐクイーンに夢中になり、テレビにクイーンが出ると「ブライアン~!」とか言ってよく悶絶していました。当時小学生だったアラフィフおやじにとっても、「ボヘミアン・ラプソディ」を始めとしたクイーンの楽曲には、他の洋楽系ロックとは全く違った魅力がありました。特に、ギターに興味のあったアラフィフおやじにとって、ブライアン・メイの「レッド・スペシャル」(図1:エンジニアであった父親とブライアンが二人で作り上げたオリジナルのエレキギター)が奏でるシンセサイザーのような七色のギターの音色や多重録音が作り上げる複雑なハーモニーには刺激を受けました。

図1.レッドスペシャル(レプリカ)

 クイーンには「ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)」のようなナイーブな印象の歌もあるし、「ウィ・ウィル・ロック・ユー(We Will Rock You)」のようなライブバンドとしての一体感を重視したストレートな楽曲もあります。多様なスタイルの曲を多様なアレンジで聴かせるクイーンは、80年代になっても「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー(I was born to love you)」や「レディオ・ガガ(Radio Ga Ga)」などのヒット曲を連発します。85年に発表された「ワン・ヴィジョン(One Vision)」は、イントロのハードなギターリフが印象的な曲です。当時アラフィフおやじは高校生でしたが、レコードプレーヤーが付いたダブルカセット、オートリバース付きのテクニクスのコンポを父親に買ってもらい、実家の屋根に8素子の八木アンテナを立て、FMラジオをエアチェック(FMに流れる音楽を録音すること)するのを習慣にしていました。ある日エアチェックしたテープにたまたま録音されていたのがこの「ワン・ヴィジョン」です。ギタリストとしては真っ先にマネしたくなるカッコいいフレーズなんですが…マネして弾いても全然同じような雰囲気が出せないんですよね…。ブライアン・メイのギターサウンドは非常に厚みがあって、少し鼻づまり感(?)のある倍音を多く含んだ猛烈に個性的な音がします。ギター自体も自作のオリジナルですが、当初アンプは「ディーキーアンプ」(図2)と呼ばれるオリジナルの小さなアンプを使用してサウンドメイキングしていたとのこと。クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンがスクラップをリサイクルして作り上げたというこのアンプ、製作者の名前から「Deacy(ディーキー)」と名付けられましたが、最近ではなんとホンモノそっくり音がするレプリカのディーキーアンプまで存在するようです。マニアックな世界ですね~。

図2.ディーキーアンプ(レプリカ)

 ブライアンはさらにアンプにギターをつなぐ手前に「トレブルブースター」と呼ばれる、その名の通りトレブル(高音)をブースト(増幅)するエフェクターを使用したり、ピックの代わりに6ペンス硬貨で弦をはじいたりと、とにかくやることが超個性的なのです。最近ではブライアンのギターの音を忠実に再現するギターアンプや、エフェクターまで存在するようなので、やはり普通のアンプやエフェクターの組み合わせではなかなかあの音を再現できないということなんでしょう。

 クイーンというバンドのサウンドメイキングにおいて、ブライアン・メイのあのギターサウンドが果たした役割はとても大きいと思います。ギター単体で聴くとかなりワイルドで、ほんの少しだけローテクな感じのサウンドなのですが、クイーンのバンドサウンドの中で聴くとまるでバイオリンや管楽器のような表情豊かなサウンドに聴こえるから不思議です。

 映画「ボヘミアン・ラプソディ」では、バンド活動の舞台裏や、彼らの人間性も含めて赤裸々に描写されているのですが、アラフィフおやじが感じたのはブライアン・メイというギタリストの人間性のすばらしさです。常にバンドのことを中心に考え、個性的なメンバーそれぞれの意見を尊重しつつ、言うべきことはハッキリという。ワガママを言うメンバーを諭すこともあるが、決して相手を拒絶しないし見捨てない、そんな人間味あふれたブライアンはバンドサウンドにおける要であると同様、バンド活動においても果たしている役割はとても大きいものがあったと思います。それこそ、ブライアンがいなかったらクイーンというバンドはもっと早い段階で表舞台から姿を消していたかもしれない…そんな風に感じました。

 アラフィフおやじにとってクイーンというバンドは、メンバーの知的レベルが高いことも手伝って、どちらかというとクールな印象だったのですが、映画を見ているとどのメンバーも人間臭く、色々と悩みながら前に進んでいたのだということが分かりました。映画後半になるとバンドのメンバーの人間性も把握でき、クイーンというバンドが本当に身近に感じられるようになりますので、ラストの「ライブ・エイド」でのライブシーンがスクリーンに流れる頃には、心から彼らを応援したい気持ちになってしまいます。

 圧巻のライブシーンは20分以上続くのですが、徐々にライブの世界に引き込まれていってしまい、ライブの最後で「伝説のチャンピオン(We Are The Champions)」が流れる頃には、まるで自分自身があのライブ・エイドが行われたウェンブリー・スタジアムにいて一緒に歌っているような、そんな錯覚を感じるほどでした。

 この映画を通して、アラフィフおやじはクイーンというバンドの偉大さを再認識することができました。間違いなくアラフィフおやじにとって2018年における最高の映画だったと思いますし、なるべく多くの人、特にクイーンというバンドをあまり聴いたことの無い人に見てもらいたいと強く感じました。ちなみにアラフィフおやじには高校三年生の、映画好きの娘がいるのですが、受験勉強の合間にこの映画を観にいったようです。この間買ってもらったばかりのiPhoneに映画のサントラ盤をダウンロードしてちょくちょく聴いており、今ではすっかりクイーンのファンになってしまったようです。家族の中でこの映画が話題になることも多く、アラフィフおやじも映画に触発されて久々に昔から持っていたクイーンのベスト盤を引っ張り出してレコードプレーヤーで聴いてしまいました。うん、いつ聴いてもやっぱりクイーンはいいですね。

 まだ観ていない、という方や「いずれDVDで観ればいいや」と思っている方は是非急いで映画館に行ってください!「ボヘミアン・ラプソディ」は映画館で大勢の人達と一緒に見て欲しい映画です。スタジアムでのライブ・エイドのシーンの感動は、DVDではなかなか伝えきれないと思うので…。

 アラフィフおやじも、また2回目観にいっちゃうかも…。

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