ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2022年9月21日更新オンラインセッションについて

どうも~アラフィフおやじです。

今日はアラフィフおやじの最近の音楽活動について少しお話ししたいと思います。

 

  アラフィフおやじがギターを始めたのは中学2年生の頃です。最初はアコースティックギター(当時はフォークギターと言っていましたが)を買って、当時流行っていたニューミュージック(アリスや松山千春等)の曲を弾いていたのですが、その後エレキギターに目覚め、高校、大学では軽音学部でロックやヘビメタ的な音楽をやっていました。

  社会人になってからは、再びアコースティックな音楽に回帰し、弟とアコースティックギター2本のDUOを組んで都内のライブハウスに出たりするようになりました。当時はCharと石田長生のDUOユニットである「BAHO(バホ)」の曲をカバーしたり、JAZZやボサノバのスタンダードの曲などをやったりしていました。その後仕事が忙しくなったり子供が生まれたりで10年以上ライブ活動はやっていなかったのですが、10年ほど前からちょくちょくライブハウス等での音楽活動を再開し、ここ5~6年間は中学生時代の同級生とアコースティックギターのDUO(「Les Cordes(レ・コルド)」と言います)というユニットで年に数回ライブ活動を行っています(コロナ禍でここ数年活動できていませんが…)。

  ギター2本の「DUO」というフォーマットは、ベースやリズム楽器が無いなどの制約があるものの、アレンジの自由度も高く、個人的にはお気に入りのスタイルです。曲によってはベースを入れたくなったり、リズム楽器(カホン等)を入れたくなったりすることもあるのですが…楽器数が多くなると表現の幅が広がる一方で、音数が少ないが故の魅力が失われるような気もします。

  友人とのDUOの練習は、コロナ以前は都内の音楽スタジオで平日夜にやることが多かったのですが…コロナ禍になってからしばらくは練習できない状況になってしまいました。こりゃコロナが落ち着くまでは練習はできないな…とあきらめかけていた頃、YAMAHAが「SYNCROOM(シンクルーム)」という素晴らしいアプリを発表したという情報をネットで知りました(図1)。

図1. SYNCROOM(シンクルーム)

  SYNCROOMは、インターネット回線を使用して高音質かつ遅延なくパソコンやスマホ同士をつなぎ、遠隔地間での音楽のセッションを可能とした画期的なアプリです。zoomやTeamsなどのミーティングアプリでは、音声の劣化や遅延等があるので全くセッションには使えないのですが、SYNCROOMは「ASIO(アジオ)ドライバ」という低遅延・高音質の特殊なドライバソフトを採用し、それに対応したオーディオI/Fを使うことでまるで同じ空間にいるような感じで遅延を意識せずにセッションをする事ができるのです!しかもこのSYNCROOM、なんと無料でダウンロードできるということで、コロナ禍でバンド活動ができずに困っている人たちにとっては正に救世主のようなアプリとなっています。

  YAMAHAはこのアプリをコロナ禍になる10年以上前から開発していたそうです。開発当時は「NETDUETTO(ネットデュエット)」という名前で、長らくβ版のままで市販されていなかったらしいのですが、コロナ禍に突入したことをキッカケに、正式な製品としてサポート体制等を整え、2020年6月29日に正式にリリースを決定したとのこと。有料アプリにしてしまっても本来全然OKだと思うのですが、YAMAHAさんは楽器を長く使ってもらう事をこのサービスの対価と考えているそうで、このアプリで商売をする気は全く無いそうです。(-ω-;)ウーンなんとも太っ腹な…。ちなみにSYNCROOMを使うようになってから、友人とのギターDUOの練習の頻度はかなり高くなりました。何せ、わざわざスタジオを予約する必要も、スタジオに行く必要も、スタジオ代を払う必要もないのですから…。

  SYNCROOMは音声の双方向のリアルタイム通信の機能はありますが、画像を伝送する機能は無いので、zoom等のアプリケーションと組み合わせて使用すると、お互いのプレイを見ながら演奏できるので便利です。通常zoom等のミーティングアプリは音声があまり良くなく、遅延も多いので相手の声が聞きとりにくかったりすることも多いので、その辺の問題が一挙に解決される感じですね。普通のミーティングアプリもこれくらい音声のクオリティを上げてくれればいいのに…と思います。

 なおSYNCROOMには、オンラインセッションに必要な機能が色々ついています。相手側・自分側の音量調整やパンポット(ステレオ空間上のどこに音像を定位させるか選べるツマミ)に加え、リバーブ(エコー)をかけたり、演奏を良い音質で録音することができたり…これだけ色々ついていて無料とは、本当にYAMAHAさんに感謝ですよね。

  ちなみにSYNCROOMに関する情報は以下のリンクで紹介されていますので、興味のある方は覗いてみてください。

https://syncroom.yamaha.com/

  また、SYNCROOMを使って録音したDUOのサンプルを(少し恥ずかしいですが)数曲アップさせていただきました。以下のリンクを通して聴いていただければ、SYNCROOMの遅延やノイズの少なさ、音質の良さを実感いただけると思います(ちなみにサンプルは録音後にエコーを追加し、イコライザで若干の補正をしています)。

恋(松山千春)~ 演奏 レ・コルド
守ってあげたい(松任谷由実)~ 演奏 レ・コルド
風を集めて(はっぴいえんど)~ 演奏 レ・コルド

  練習でSYNCROOMを使うようになってから、練習後に自分たちの演奏を録音してチェックをして修正する、という習慣がつき、以前スタジオを使って対面で練習していた時よりもDUOのアンサンブルのクオリティが少し向上したように思います。練習の効果が実感できるようになると更に練習が楽しくなってくるもので、最近アラフィフおやじは「アコースティックDUO」の魅力に以前にも増してどっぷりハマりつつあります。

  ちなみにアラフィフおやじがアコースティックギターの演奏にハマるキッカケは前述したように社会人になってから出会った「BAHO」なのですが、アコースティックギターのDUOやトリオのCDやレコードが出ると、気になって今でもちょくちょく買ってしまいます。ギターDUOで私が一番好きなのが、以前こちらのコラムでも紹介したフランス人ギタリストである「ビレリー・ラグレーン」と、同じくフランス人ギタリストの「シルヴァン・リュック」によるその名も「duet」(1999年)というアルバムです(図2)。二人とも天才肌のギタリストなのですが、テクニックもさることながらとにかくアレンジが美しい!リードギターだけでなく、バッキングのギターのフレーズのセンスも素晴らしい!演奏としてはいわゆるジャズっぽいアプローチではありますが、「Time After Time」や「Isn’t She Lovely」などポピュラーな曲も入っているので、普段ジャズを聴かない人でも十分楽しめると思います。

図2. Sylvain Luc & Bireli Lagrene 「Duet」

  また、ギタートリオに関しては、やはり「アル・ディ・メオラ」と「パコ・デ・ルシア」、「ジョン・マクラフリン(パソコンで打つとなぜか「枕不倫」と変換されてしまう…)」という世界最高峰の超絶技巧3名による「スーパー・ギター・トリオ」名義の「Friday Night in San Francisco」(1981年)という名盤がおススメです(図3)。アラフィフおやじがこのアルバムを始めて聴いたのはおそらく高校生のころだったかと思いますが、鬼のような正確無比なピッキングには衝撃を受けました。フラメンコの世界では “Duende(ドゥエンデ)”という言葉があります。「神が降りてきたような」「魂がうち震えるような」何とも言葉で言い表せない迫真の演技の瞬間を指す言葉ですが、まさに「Duende」状態の演奏が楽しめるアルバムです。ちなみにこの3名はその後再結成し、その名も「Guitar Trio」(1996年)というアルバムを出していますがこちらもおススメです(図4)。

図3. Al Di Meola他「Friday Night in San Francisco」

図4. Paco De Lucia他 「Guitar Trio」

 ちなみに国内のアーチストによるアコースティックギターDUOやトリオのアルバムも色々と出ていまして…割と最近購入したアルバムの中からおススメのギターDUOとトリオのアルバムを紹介したいと思います。

 ギターDUOのおススメアルバムは、JAZZギタリストである荻原亮と松原慶史による『ACOUSTIC SESSIONS 〜Players and Luthiers〜』(2019年)というアルバムです(図5)。JAZZのスタンダード曲中心で、ギタープレイはもちろん素晴らしいのですが、お二人が使用しているギターもルシアー(ギター製作家)による完全ハンドメイド、というハイクオリティなもの。CDの音質も手工ギターの繊細な響きを余すことなく堪能できる素晴らしい録音となっていますので、オーディオ好きな人にもおススメです。

図5. 荻原亮 & 松原慶史「ACOUSTIC SESSIONS」

  ギタートリオのおススメは、日本のジャズ界を代表する有田純弘、鬼怒無月、竹中俊二という3名のベテランギタリストによる「FRETLAND」というユニットが出した「VOYAGE」(2021年)というアルバムです(図6)。曲(オリジナル)・アレンジ・テクニックともに申し分のない出来で、名盤と言っても良いと思います。アラフィフおやじもライブハウスで何度かそのプレイを生で見たことがありますが、もはや「名人芸」と言ってよいレベルの演奏で、アラフィフ読者の皆様にも自信を持っておススメできるアルバムです。ギター好きの方は是非チェックしてみて下さい。

図6. FRETLAND「Voyage」

 以上、最近の音楽活動についてお話しをさせていただきました。コロナ禍で音楽活動が制限される中ではありますが、おウチ時間が増えたことやSYNCROOMの登場もあり、音楽とじっくり向き合うこともできたのでアラフィフおやじにとっては悪い事ばかりではなかったように思います。これからは「withコロナの時代」に移行し、ライブ活動なども徐々にできるようになってくると思います。「Les Cordes」もライブ活動の再開に向けてレパートリーを充実させていきたいと思います。

  皆さんとリアルで音楽の楽しさを分かち合える日を楽しみにしています!

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