2018年3月23日更新「ピック」について
どうも、アラフィフおやじです。
今日はギタリストなら多分みんな持っているハズ!の「ピック」について書こうと思います。
クラシックギターやアコースティックギターなどではピックを使わずに指だけで演奏するギタリストも多いですが、そんな人でも家のどこかに1枚くらいは必ず転がっているハズの「ピック」。楽器屋さんに行くと本当にたくさんの種類のピックがあって、通常は一枚100円くらいで購入できます。ギタリストであれば、フラッと楽器屋さんを訪れた時、何も欲しいものが無いのに思わずピックを衝動買いしてしまった、なんて経験を持っている人も多いのではないかと思います。
このように、我々ギタリストにとって身近な存在のピックですが、実はとっても重要な存在なのです。
ギターという楽器を突き詰めて考えていくと(他の楽器も同じでしょうが)、最終的には「出音(でおと)」の良さが一番大事というという事になろうかと思います。出音を決める要素としては、当然ギターに使用する木材や形状、加工精度、組立精度、表面の塗装など、様々な要素があります。しかし、ぶっちゃけギターとは弦を指で押さえてピックで弾くという極めてプリミティブな原理に基づいて振動をボディに伝える仕組みなので、音の入り口としての「弦」や「ピック」は当然出音に大きく影響してきます。つまり、どんなに高いギターを使っていても、弦やピックに対して無関心だと、そのギターが持っている実力を発揮できない!という事になります。
ピックはその形状や厚さ、固さ、素材(ナイロン・ポリカーボネート・アクリル等々)によって全く出音が変わってきます。そのあたりはマニアックなサイトが山ほどあるのでそちらを見ていただくとして…これだけ世間に沢山のピックが出回っているのに、長年使い続けたいと思うようなピックに出会うことはめったになく、ギタリストの大半はお気に入りのピックを見つけたらあんまり浮気せずに同じ種類のピックを使い続けているのではないかと思います。
アラフィフおやじも御多分にもれず、普段使うピックはほぼ数種類に固定されています。
それこそ数十種類のピックを今まで使って来ましたが、自然と淘汰されていきました。どうやら自分には小さめで正三角形に近く、割と厚手で滑らかな素材のピックが性に合うようです。ここ数年で自分にとってベストなのは、渋谷にあるウォーキンというビンテージギターを取り扱うお店がオリジナルで出している「小型トライアングル1.2mm/べっ甲柄(茶)」というヤツです(図1)。全く同じ形状で「べっ甲柄(赤)」というのもあるのですが、赤の場合は心なしか柔らかくて微妙にコシが足りない感じがするのです。店員さんを問い詰めたら「同じ1.2㎜のはずなんですが…確かに赤の方が微妙に薄いようですね…」と言っていたので間違いはないと思います。本当に些細な差ではあるのですが、私の場合は「べっ甲柄(茶)」でないとダメなのです。
ピックは先端の尖り具合で倍音の出方が変わるので、あえてジャラジャラと倍音を響かせたくない場合は先がすり減ったピックを使う事もあります。20年以上前に買った「SCHECTER」のEX.H(エクストラハード:一番分厚いモノ)(図2)は、長年かけて先端がすり減り、かなりいい感じに倍音をコントロールできるようになったので、以前同じピックを10枚くらいまとめ買いして、先端をヤスリで削って同じフィーリングにしようと思ったことがあります。しかし…加工後のピックは「変に安っぽい倍音」が逆に目立つようになってしまい、何枚も廃棄する結果に…(汗)。長年かけて「いい塩梅」にすり減ったピックの形状をヤスリで削って再現しようとしたところが浅はかでした。「ピックは一日にしてならず」という言葉をその時私は心に刻んだのでした。
ちなみに、ピックは演奏する音楽のジャンルや、使用するギターによって意識的に変えることもあります。ここ10年位ハマっているジプシージャズというジャンルの場合、ブ厚いピックで弦に叩きつけるように弾かないと雰囲気が出ません。前述した1.2㎜程度のピックでは音がペラペラした感じになってしまうのです。典型的なジプシージャズ用のピックは角が丸く加工された厚さ5㎜ぐらいのブ厚いヤツで(図3)、ジプシーの方々はその昔ボタンや牛骨を削ってこのようなピックを自作していたとのことです。ちなみに素人が使うとまともに音が出ないのですが、上手い人が使うと太くて暖かい何ともいい感じの音が出るんですよね…。
私もこのブ厚いピックをしばらく使っていたのですが、少々使いにくいので途中で挫折し、今は厚さ3㎜ぐらいの「V-Pick」という透明のピックを使うようになりました(図4)。こちらはエッジの処理の具合が良く、割と弾きやすいです。アクリル製で値段はたしか800円程度とピックにしては相当高かったと記憶しています。音の雰囲気はジプシージャズ専用のピックには負けますが…。
ちなみに、楽器屋に行ってギターを試奏する場合、灰皿みたいなお皿にお店がテキトーに準備したピックがジャラジャラと入っていて「どうぞ!」という感じで進められる事が多いのですが、大体においてしっくりくるものが絶望的に無く、結果的にピックの感触が悪いのかギターそのものが合わないのかよく分からずに購入を控える、なんてことも結構あります。自分に合わないピックでギターを弾くと、大体うまく弾けず、音色も芯を食ってないようなフヤケた音になりがちです。こうなると購入するモチベーションは不思議と一気に下がってしまいます。
ちなみにアラフィフおやじの場合は、購入を真剣に考えている時はちゃんとお気に入りのピックを持参するようにしています。以前はお財布の小銭入れのところに必ずマイピックを1枚入れていましたが、これはフラッと入った楽器屋での「衝動買い」を助長するため、現在は実施しておりません。というか、すでに部屋の中に10本もギターがあり、居住スペースを著しく浸食しているためこれ以上購入することは不可能、というのが実情です。我が家は壁が石膏ボードで壁に釘が打てないので、ギターはすべて床に置いたスタンドに立てかけるしかなく、場所を食うんですよね…。
…でもなんか最近は、石膏ボードの壁でも使用できるギターハンガーなどもあるようですね(https://wowma.jp/item/225894443)。細くて長い釘を放射状に壁に打ち込むことで強度を保てるみたい。これだとあと4~5本は購入しても大丈夫かな…(オイオイ\(-_-;))
記事一覧
- 最終話 ~今までありがとうございました~
- イヤホン
- 新しいギター、買っちゃいました…
- レコード(その2)
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- オンラインセッションについて
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- 絵はすぐに上手くなる?
- 「アラフィフおやじ」こと川野氏直撃インタビュー第2弾
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~佐久間駿さんを偲んで~ - エフェクター
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- ギターのメンテナンスについて(その2)
- ギターのメンテナンスについて(その1)
- Gibson(ギブソン)
- 番外編 ~ジプシーギターのテールピースDIY交換についてのご報告~
- ジプシージャズ
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- 「SHISHAMO」考
- 新コーナー「アラフィフおやじのギター日記」著者、川野氏直撃インタビュー