ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2019年1月24日更新エフェクター

 どーも、アラフィフおやじです。

 今日は、ギタリストの足元を飾る「エフェクター」についてお話をしたいと思います。

 

 ライブ等に行くと、ギタリストの足元にペダルが付いた機械が並んでいて、それを足で踏んでギターの音色を変えている光景を見たことのある人は多いと思います。このペダルが付いた機械のことを「エフェクター」と呼びます。

 エフェクターと一口で言っても、非常に奥が深い世界で、星の数ほど多くの製品が存在します。特に最近は、「ブティック系」とよばれる、高品位なハンドメイドのエフェクターが存在感を増しており、以前に増して奥が深い世界になっているように思います。

 エフェクターにもトレンドというか、その時代時代の流行のようなモノがありました。アラフィフおやじが高校生だったころは、エフェクターのメーカーも製品ラインナップも今ほど豊富で無かったように思います。アラフィフおやじが高校の軽音楽部に所属したばかりの頃は、エフェクターに関する知識もほとんどなかったので、何も考えずにギターとアンプを直接シールドケーブルでつないで音を出していました。しかし、同じ軽音楽部でエフェクターを何個も持っている金持ちのボンボンみたいな人がいて…エフェクターを使うとギターの音が全く別次元のプロのような音に変わるのを聞いて当時のアラフィフおやじは衝撃を受けました。その辺から少しエフェクターというモノが気になり始めました。

 当時は、電子系楽器で有名なRolandの子会社の「BOSS(ボス)」というメーカーのエフェクターが全盛期でした(図1)。とにかく、ここのコンパクトエフェクターを買っておけば間違いない的な定番メーカーで、アラフィフおやじもお年玉等をもらうたび御茶ノ水の楽器街に行ってはBOSSのエフェクターを買い集めていたことを懐かしく思い出します。

図1.BOSSエフェクター

 

 エフェクターには大きく分けて「歪み系」「モジュレーション系」「エコー系」などが存在します。これ以外にも上記の分類に収まらない様々なエフェクター(コンプとかワウとかエコライザーとか)が存在するのですが、ここでは説明の都合上、分かり易さを重視して一応大きくこの3つに分類したいと思います。

 「歪み系」というのはその名が示す通り、ギターの音を歪ませて迫力のある音を作るエフェクターです。「オーバードライブ」とか「ディストーション」と呼ばれるエフェクターがこの分類に該当し、大きなアンプをドライブしたような音がして、サスティーンも伸びるので、初心者が使うと少し上手くなったような気がします。ロック系をやるにはマストなエフェクターかと思います。(音源1:エフェクターOFF、音源2:歪み系ON)

 「モジュレーション系」は知らない人に説明するのは難しいのですが…音に揺らぎを加えて空間的に広がりのある音に加工するエフェクターです。「コーラス」とか「フェイザー」「フランジャー」などのエフェクターがこの分類に該当し、クリーンサウンドにコーラスを加えてカッティングすると、山下達郎みたいなオシャレなサウンドになりますし、歪み系と組み合わせて使うとBOOWYの布袋みたいな感じのサウンドを作ることも可能です。(音源3:エフェクターOFF、音源4:モジュレーション系ON)

 「エコー系」は、その名が示す通り、カラオケのエコーと同じ効果をもたらします。「ディレイ」とか「リバーブ」というエフェクターがこの分類に該当します。上手に使うとカラオケのエコー同様にアラをカバー(?)してくれますが、調子に乗ってかけすぎるとお風呂場や大聖堂(!)の中で演奏したような音になってしまいますので注意が必要です。

(音源5:エフェクターOFF、音源6:エコー系ON)

 アラフィフおやじが大学生になると、BOSSのコンパクトエフェクターのように足元に直接並べるタイプではなく、足元のスイッチと本体が分離した「ラックエフェクター」(図2)と呼ばれる少し大げさなエフェクターが徐々に普及し始めました。本体のサイズはかなり大きくて重いので、持ち運びには全く向かないのですが…当時はよくプロの人達が使っていて、その大きさやゴツさが逆にカッコよく見えたんですよね。値段は結構高くて、歪み系もモジュレーション系もエコー系もすべて入った「マルチエフェクター」だと10万円以上、身長くらいある縦長のラックに諸々実装すると軽く百万円を超えてしまいます(その辺もなんだかバブル時代っぽいですね)。アラフィフおやじも過去20万円近くこの分野にお金を投入しましたが、重くて車でないとライブ会場に運べないし…今では全く使っていません…もったいないですね。

図2.ラックエフェクター

 アラフィフおやじが社会人になると、デジタル機器の普及に伴ってエフェクターのコンパクト化やデフレ化(?)が進み、足元にコンパクトに収まるタイプの「コンパクトマルチエフェクター」(図3)が普及し始めました。歪み系もモジュレーション系もエコー系もすべて入っているのになんと1万円程度とリーズナブル。ギターケースのサイドポケットに入れて運べるし、ライブの時のセッティングもラクなので、アラフィフおやじもコンパクトなマルチエフェクターを手に入れ、ライブで良く使っていたのですが…どうも物足りないんですよね。今一つ音が突き抜けないというか、加工された感がある音になってしまうというか…困ったもんです。

図3.コンパクトマルチエフェクター

 雑誌やネットをチェックしてみると、最近はプロも(マルチでなく単一機能の)コンパクトエフェクターを足元に複数並べているケースが多いみたいです。昔のようなラックタイプのエフェクターを使っているミュージシャンもあまり見かけなくなりました。冒頭触れた「ブティック系」などのエフェクターの台頭により、ハイグレードなこだわりのコンパクトエフェクターをセレクトして足元にズラッと並べるというスタイルが最近のトレンドみたいです。時代が一回りして戻ってきた感じですかね。

 そこでアラフィフおやじは、自分の出したい音を追求すべく、思い切ってコンパクトエフェクターを地道にセレクトし、エフェクターボードにセッティングして「こだわりのマイボード」を完成させるというディープな世界に足を踏み入れることにしました。ただ、いわゆる「ブティック系」にこだわることはせず、楽器屋で視聴してみて自分の耳が気に入れば購入するというスタイルで集めました。こうして出来上がったマイボード(図4)のおかげで、ライブでは自分の思ったような音がそこそこ出せるようになったと思います。ちなみにこちらのボードはアコースティックギター用に作ったものですが、右から2つ目の「FISHMAN」と書かれた大きめのエフェクターは、先ほど述べた3つのどの分類にも属さないマニアックなエフェクターで、「エレアコの音の微妙な不自然さをちょっとだけ解消する」というニッチな機能に特化したものです。ライブの時にこのエフェクターを使うと、多少ピエゾピックアップ(圧電素子を用いて弦振動を電子信号に変える装置)特有の不自然さは多少解消されるのですが…無くても何とかなるような気も…まあ、半分演奏者の自己満足のためにあるようなエフェクターかもしれないですね。

図4.マイボード

 ちなみにオーディオの世界と同じく、エフェクターにも「アナログ方式」と「デジタル方式」が存在します。今の時代、音を取り込んでデジタル化してしまえば理屈的にはソフトウェアによっていかようにも音を加工することが可能なのですが、「自然か」「不自然か」という観点で言うと…デジタル方式は「モジュレーション系」「エコー系」ではさほど不自然さを感じないものの、「歪み系」エフェクターの場合はどうしても「不自然さ」を感じてしまいます。オーディオの世界もエフェクターの世界も、デジタルの技術がこれだけ進んでいるにも関わらず、「リアリティ」や「味」といった部分ではまだまだアナログ式にかなわない、というところは面白いなと思いました。

 

 コンパクトエフェクターって、安いのであれば数千円で買えるので、衝動買いのリスクが高いんですよね。種類も豊富だし、魅力的な新商品がどんどん出てくるし…。俗にいう「エフェクター沼」にハマっている人もコンパクトエフェクターの世界では多そうですね。ちなみにアラフィフおやじは歪み系のエフェクターに関しては、軽い歪みに向いているモノ、中くらいの歪みに向いているモノ、強めの歪みに向いているモノ、の3種類(図5)くらいしか持っていませんし、全部のエフェクター集めてもまだ10個程度なので、「沼」には程遠いですね。まあ、「水たまり」くらいでしょうか。それだけ持ってりゃ十分だろ、という声が聞こえてきそうですが…。

図5.コンパクトエフェクター

 

 エフェクター沼にハマったコレクターの中には、衣装ケース数個分(!)のエフェクター所有している、なんていう猛者もいるようなので、アラフィフおやじもくれぐれも「沼」にハマらないよう注意したいと思います。

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