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2019年2月27日更新SNJ総会レポート

SNJ総会_菊地氏の講演

 2月15日(金)の午後から16日(土)にかけて、静岡県伊東市にてセーフティネットワークジャパンの年次総会が開催されました。今回、SNJ総会に初参加の2名の講師により、新しい風が吹き込まれました。過去、総会当日に大雪が降ったこともありますが、今回はお天気にも恵まれました。SNJでは毎年2月に年次総会と定例会を合宿形式で同時開催しています。総会では活動報告や活動計画、予算などを検討し、その後、定例会に切り替わり、講演や質疑応答による勉強会を行います。

 初日の1つ目の講演は、行動分析学を産業安全に応用する研究について、労働安全衛生総合研究所の北條氏よりお話いただきました。本題とは逸れますが、初の女性講師参加で、今回会場の空気がいつもとは違っていたように思います。労働者が作業現場で危険な事故を回避するための安全行動(ヘルメット着用や安全通路の通行など)を増やすにはどうすればよいのでしょうか。人間や動物の行動を分析する心理学の一学派である行動分析学とはそもそもどういう学問?特定の行動を増やすのに、罰を与えるのと報酬を与えるのでは、どちらの方が効果的?これらについて、実験結果に基づいて、わかりやすく説明していただきました。時間の都合で、機械安全領域での実験結果の発表は次回へと持ち越されましたが、講演は技術者のみなさんから大きな反響がありました。

 2つ目の講演はSNJ主査の高橋教授(日本大学)による機械学習についての講演。Wikipediaによると、機械学習とは、「人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする技術・手法のこと」です。今回、高橋先生より機械学習で実現したい3つのタスク、機械学習の3つの種類、さまざまな手法などについてお話いただきました。機械学習で実現したいのは、回帰分析(数値の予測)、分類(例:顔や音声認識)、クラスタリング(グループ化)の3つ。それぞれのタスクはタスクの種類によって最適な手法を用いて実行します。たとえば、クラスタリングによるカラー写真の減色処理を行いたい場合は、「k-平均法」を用いて、希望する色数にデータをグループ分けすることができます。2色に分ければ、白黒写真になります。このような機械学習の応用事例として、街中のモノのカウント、内視鏡画像AI診断、自動運転のための数秒先の画像予測などが紹介されました。今後機械学習が進化すれば、ますます幅広い分野で応用されることは間違いありませんが、AI技術に頼った技術を使用して事故が発生した場合、責任は誰が負うのかという課題もあります。メーカーや医師の責任となるのでしょうか?難しい問題です。

 2日目は、鉄道信号関連技術職に従事する菊地氏より、i Competency Dictionary (iCD)と言う画期的なシステムの応用についてご講演いただきました。iCDはもともとはIT人材育成のためのシステムとして作られたものですが、組織や企業が経営戦略や人材育成を実現するために有効なシステムです。たとえば、新製品を開発する場合、まず、必要なタスクを具体化し、そのタスクを実行するためにどのような能力を持つ人材がどのくらいの数必要なのか明確化し、それに沿ってプロジェクトを進めていきます。新製品開発につきものの規格適合についても、それぞれの規格のプロセスフローをバラバラに定義するのではなく、iCDを応用し、一続きのプロセスフローに整理すると、タスクさえしっかりやれば、規格適合を実現できる仕組みが出来上がります。iCDの形に落とし込むことで、実行可能なタスクとして規定できるため、必要なタスクの漏れや必要な人材が足りないことに途中で気づくようなことがなくなるのです。ご講演後の雑談で耳にしたのですが、このiCDと言うシステムはすでに某有名企業で採用されており、実績のあるシステムだとか。新規ビジネスを立ち上げようとしている方はもちろんですが、どのような場面(たとえば展示会やイベントの準備)でも使えそうな非常に汎用性の高いシステムに思えます。

 このように、今回は全くタイプも分野も異なる3名の講師による講演が繰り広げられ、また夜の懇親会も盛り上がりました。興味を持たれた方は、次回定例会(4月9日開催予定)にぜひ見学にいらしてください。詳細が決定しましたら、このコーナーでご案内します。

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