ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2019年1月24日更新ポジティブシンキングの実践 ~“箱根駅伝”の教訓~

 新しい年になりました。今年もよろしくお願いします。今年の年明けは、穏やかな日が続き良かったなと思っていたら九州で地震が発生しました。亥年には、過去に大きな地震が発生した記録があります。幸い大きな被害はなかったようなので一安心ですが、私たちに常に“減災”のための活動を心がけなさいというメッセージとしたいものです。

 災害が発生するとネガティブになりがちですが、これも「気づかないことを教えてくれた」「今、手を打てば大きな災害を防止できるチャンス」と捉えていけば良いのではないでしようか。今回は、物事の捉え方について考えてみたいと思います。

1.「箱根駅伝」が教えてくれたこと

 毎年、正月の恒例行事となっている「箱根駅伝(東京箱根間大学駅伝競走)」が今年も大激戦を繰り広げました。私個人としても大好きで今年もTV(移動時にはラジオで)に釘付けでした。新聞などの記事を転用させてもらいつつ、感想を述べたいと思います。

 なんと言っても今年の話題は、青山学院大学(以下、青学大)の5連覇なるかということでしたが、2位に終わりました。駅伝は人の限界への挑戦なので、何が起こるか分からないだけにハラハラドキドキです。それが魅力の一つかもしれません。私が印象に残ったのは、青学大のアンカーのゴールでした。翌日の新聞などにも「見事な負け方」と表現されていました。アンカーの鈴木選手が笑顔でゴールテープを切り、走ってきたコースを振り返り笑顔で一礼、そして迎え入れる森田主将らも笑顔、仲間も拍手でした。”エッ”と思いました。悔しいはずなのに‥。青学大が箱根駅伝に初出場した時は、完走したチームの中で最下位だったそうです。その時も、笑顔でゴールしたそうです。それが伝統のようになっていると書いてありました。精一杯頑張って苦しい練習を積み重ね、常に前を追い激走している事そのものが、素晴らしい事と言うことを知っているのでしょう。勝負は、時の運と良く言われます。原監督も「どんな王者もいつかは負ける。大事なことは負け方だと思う。来年は、東海大学一強ですよ。」と潔かったことも素晴らしい。スポーツなので勝つと言う結果は大事なこと、しかし、もっと先を見ている気がします。日本の陸上を、マラソンをもっと強くしたい、もっとメジャーにしたいという陸上界の将来を見ている人だから言えるのかもしれません。東海大学が新記録で総合優勝。青学大は総合で東海大学に負けたものの、新記録で復路優勝でした。往路が東洋大学の優勝と3大学が下馬評通りの三つ巴の戦いをしてくれた今年の箱根駅伝は、記録と記憶に残る大会になったと思います。

 少しこじつけて、私たちの災害防止活動に置き換えてみると、

⑴ 結果評価だけに力点を置きすぎていないか?

 勿論、結果も大事ですが「目標は災害ゼロ」と言い過ぎていないでしょうか。目標は、ゼロしかないと思います。しかし、機械は故障し、人はミスをします。大事なことは、災害発生までにどれだけ未然防止活動をしたのかと言うことではないでしょうか。また、活動内容が大切で、重篤な災害だけは絶対に起こさないという決意で臨んでいるかと言うことが問われていると思います。「結果も大事だが、内容と活動の経緯はもっと大事」であり、危険源の低減活動(危険管理、またはリスクアセスメント)などを大切にしていかねばとつくづく感じさせられました。

⑵ “笑顔で対話”が効果的

 赤ちゃんでも犬や猫でも、こちらが笑顔なら相手も近寄ってきます。勿論、大人でも笑顔で接すれば笑顔が返ってきます。人は、感情の動物ですから、災害が発生すれば悲しいです。ルール違反を見つければ叱りたくなりますし、怖い顔になるかもしれません。今回の、青学大の選手達は、結果を重視したことは間違いないと思いますが、自分達が努力してきたことや挑戦する姿勢に対して互いに認め合っていることで、あの笑顔になったのだと思います。災害が発生した時に笑顔で対応しようとは言いませんが、それまでの努力は認め、何が課題か、お互いが真剣に反省して次に活かすための議論はできると思います。災害が起きたからと言ってそれまでの活動の”全否定”でなく、”積み重ねの活動”こそが、明るく前向きな活動へつながっていくと思います。安全巡視をしている人たちの顔を見ていると、厳しい顔ばかりで笑顔で接している人が少ないことに気づきます。”同じ釜の飯を食う”仲間なのに何故厳しい顔をしているのでしょうか。私は、いつも笑顔で話しかけています。初めて会う人でも心を開いてくれます。笑顔の大切さを改めて感じさせてくれました。(私の中では、人になついていない赤ちゃんや、犬や猫に好かれることが多くチョット自慢です!)

⑶ 活動のゴールはどこ?

 昨年の平昌五輪(もうすぐ1年が経つのですね)で、女子スピードスケート500mで日本女子初の金メダルを取った小平奈緒選手(相澤病院)は、記者の「何を考えて滑りましたか?」という質問に対して「ゴールの先を見て滑りました」と言っていました。私の心の中にある物差しの一つとしている言葉なので反応してしまいました。「私たちのやっている安全衛生活動のゴールは?」と指導する時に良く質問します。前述のゼロ災でしょうか?それもゴールの一つとは思っていますが、安全衛生活動はもっと大きな目標がゼロ災というゴールの先にあるのではないでしょうか。箱根駅伝は、ゴールテープも大きな目標だと思います。しかし、選手の人生にとっては、一瞬の出来事かもしれません。そのこと以上に、練習で得た心身の強さ、努力することの大切さ、仲間との絆などなど多くの事を勝ち得ていると思います。私たちが取り組んでいる安全衛生活動は、「人づくり・チームワークづくり」であり、「企業の体質向上」などだと思います。

2.ポジティブシンキングの実践

 私は、自分の性格分析をすれば「ポジティブ人間」に類する方だと思います。勿論、怒り、悲しみなどもあります。映画を見ては”映画に入り込み過ぎて”涙しては家族に笑われたりもします。安全衛生の仕事は、明るく前向きになる材料より、暗く落ち込みがちな材料が多いと思います。無くて当たり前と思われている災害は、発生するとそれまで何も言わなかった人たちまでが「あーでもない、こーでもない」と言いたい放題言い出すと言ったことにも遭遇します。「やってられないなー」と言う気持ちにもなります。私が安全衛生スタッフになった一年目に出身職場の現場で死亡災害が発生しました。とても辛い災害で、「何で安全衛生スタッフなんかになったのか」と正直思いましたし、「何をしたら良いのか」分からずほぼ徹夜状態で3日くらい悩みました。しかし、親からポジティブに考える”能力”をもらっていた私は、「”古澤”やってろ!。死亡災害の起きない会社にしてみろ!」という”天の声”が私を突き動かしました。四半世紀経つ今でも私の心のトラウマになっている出来事ですし、活動の源泉になっていることでもあります。起きてしまったことは、元に戻すことはできないので、二度と同じ事を起こさないための前向きな姿勢と活動が大切だと思ってやってきました。以前、触れていますが、災害が発生する職場には課題・問題がたくさんあると言うことであり、「災害は職場の問題の代表特性」なのだと考えてやってきました。つまり、全ての問題・領域に対するアプローチをしていかねば災害は減少しないし、なくならない。それができる唯一の領域が安全衛生なのだと定義づけてやってきました。その活動の結果として災害減少と共に、企業の発展に大きく寄与する事ができたと思っています。現在の指導の中でも、ポジティブに考えて実践する事が、多くの仲間を増やし、会社全体として大きな変化をもたらす事になるということを体験しています。

 私たちが挑戦している活動は、人類・社会・企業にとっても大変大きな影響を与えるものだと思います。ネガティブな発言に陥りがちな活動ですが、心して「ポジティブ」な発言をしていきたいものだと思います。ネガティブ発言をすれば自分自身だけでなく、周りの人たちも暗くしてしまうかもしれません。意識して明るく前向きな発言を心がけて、お互いに良い年にしていきたいと思います。頑張りましょう。

 

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