ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2025年3月19日更新安全衛生推進者の役割について~そのⅠ~

 岩手県大船渡市の大規模な山火事、長野県や山梨県でも山火事発生、アメリカロスアンゼルス近郊の山火事など気候変動による災害と言われものが多く発生しています。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。自然には勝てませんがその「背後要因」に対する対策は人間の英知で解決していけるものもあると思います。今回は、労働災害の減災のための活動を推進する人たちにエールを送り、役割などについて一緒になって考えてみたいと思います。

1.安全活動は“誰のため・何のため・いつ使うため?”の活動か

(1) 腹落ちした活動

  今までこのコラム欄で多くのことを伝えてきました。主にスタッフの人たちにエールを送りたいという心境で書いてきましたが、改めて私たちの活動が現場の人たちに歓迎されるためにはどうすれば良いか考えてみたいと思います。昨年とても良いことがありました。年初には、10数年ぶりに設備メーカで講演をしました。私の時代に現場へ落とし込んだ活動が社長・役員が何人も代わっても安全活動は継続されていました。また、年末には、九州の自動車会社でも講演を10数年ぶりに実施しましたがその時工場巡視をさせてもらいました。驚いたことは以前より遙かに素晴らしい活動になっていたことですが、そのベースになっている活動が私の時代にみんなと一緒に作り上げた活動でした。言葉もそのまま使われていました。なぜでしょうか?「経営者から作業者まで腹落ちしている」からだと思います。原因はいろいろありますが、最も大きいのは「現場目線」の活動をトコトン追求したからだと思っています。「命を守る活動」は普遍だからだと思います。

(2) 上目線の活動からの脱却が必要

 現在も、多くの事業所で指導を続けさせてもらっています。課題のない会社はありませんが、「上から言われているから」やっている活動であったり、「法を盾にとった指導」であったり、「指示待ち人間が増えてしまっている」状況であったり、本来の「現場目線」がかけていることを相変わらず多く見かけます。時代背景もあって「管理者が板挟み」状態になっていることもあります。しかし、折角「命を守る活動」を任されたのならまず自らが「活動を腹落ち」させなければ相手に伝わりません。災害(怪我と・疾病)は、「職場の問題の代表特性」と考えています。「ルールを守らない」「危険予知能力が足りない」のではなく、「守りやすい、シンプルなルールとしていく」「足し算ばかりのルールづくりから引き算のルールづくりへ」とか、「専門技能研修を充実させて、危険予知力を高める」「人事制度を変えていこう」「機械安全の組織横断的統一」など組織的な問題へのアプローチをしていくことが社長から業務委託されている安全衛生の仕事ではないでしょうか。腹落ちするための切り口は多くあります。挑戦的な楽しい仕事だと思います。(それぞれの進め方は、今回は省きます)

(3) 形骸化した活動からの脱却

 常に申し上げていることです。雇用形態の変化など労働環境も様変わりしていますが、4日以上の休業件数が相変わらず上昇傾向にあるのになぜ活動の中身を見直さないのでしょうか。以前からやっている活動だからと活動の真の目的を忘れ、形だけの活動であったり、活動が目的化していることなどに気付き、変えていく努力が必要です。それぞれの活動が「誰のため・何のため・いつ使うため」という点の腹落ち感がなさ過ぎるからだと思います。間違っていても良いので自分自身で腹落ちさせて下さい。間違っていたと思ったら変えれば良いことです。自分自身が腹落ちしていない活動が、他人の心を動かせるはずがありません。

2.安全衛生部署の役割とは?

(1) 半歩前一歩前の活動

 「災害が起きてからなら誰でも言える」という言葉は、私が一年目の時、災害が発生した職場に行ったときに知人から言われました。「その通りだ」と思い、「未然防止」に大きく舵を切り、「重点災害未然防止活動」を推進し始めました。災害には、「背後要因」があると考え、「全ての領域にものが言える唯一の領域」、「死亡・重篤な災害だけは絶対出したくない」と言う執念に近い考え方がおぼろげながら浮かんだのがもう四半世紀以上前のことです。その活動を実践して10数年後に、法律で「リスクアセスメントの実施(重篤災害の未然防止活動が主目的)」や「機械の包括的な安全基準に関する指針(12100がベース)」が出されました。また、「非定常作業の洗い出しと改善活動(製造業の最大のターゲット)」に関するガイドラインなどが出されました。これらは、半歩前一歩前の精神で考え実践してきた活動が認められたと感じました。

(2) 活動の心・目的の伝承

 1.で10数年後に元職場を訪ねた感想を述べましたが、活動だけを継続したのであれば、これほど定着はしなかったと思います。安全衛生推進者が「語り部」となって「なぜ活動ができたか」、「なぜルールができたか」などの“背景を教え伝えていく仕組みと努力”があったからだと思います。一言で言えば「管理者研修」が落としどころの一つだと思います。外部研修に委託しては、社内で実施してきた活動の歴史や背景が伝えられません。「人づくりにかける時間を惜しんでは将来が危うい」と思わないことが不思議です。私は、指導の中で必ず「教科書づくりと、講師づくり」を提案します。なかなか時間がかかりますが、やっていけば安全衛生推進者の仲間も増え、自信にもつながっていくはずです。役割としては、この仕事がもっとも大きいと思っています。

(3) 組織横断的活動の推進

 安全衛生だけでは、減災活動の推進は難しいことは当然です。災害の背後要因には、組織共通の課題が見えてくるはずです。各職場単位では解決できない要因を安全衛生推進部署が取り上げ、プロジェクトなどの組織化をして進めていかねば解決しないと考えています。この活動を進めていくことには、相当の覚悟と仲間作りにかける努力が必要になります。しかし、これこそがやりがいだと思います。他の領域でこうしたことのできる組織はないと思います。ファイト!です。

※さらっと書きましたが、一つひとつの言葉が深いです。是非、仲間(同志)で議論して欲しいです。語り合うことが必要です。まだまだ切り口はありますので次回も触れたいと考えています。そして、皆さんの議論を元にもっと深掘りして語りあいたいですね。私の多くの失敗を皆さんにして欲しくないので、私の経験の全てをお伝えしたいと考えますが現場で実体をみつつ、対面で実施しないと伝わらないと思います。機会が作れると良いのですが‧‧‧。是非、意見・質問・コメントをいただけると嬉しいです。

記事一覧

ページの先頭へ戻る