ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2022年12月21日更新サッカーワールドカップと俯瞰力

 “ブラボー!”な試合をみせてくれた日本代表チームに拍手喝采、そしてお疲れ様でした。4年に一度のサッカーワールドカップがカタールで行われています。この記事が出るころには、優勝が決まっていますがそれが日本でなかったこと、残念な気持ちです。予選で大方の予想を裏切って(良い意味で)強豪ドイツ・スペインを破り決勝トーナメントに進出した時点で多くの人の心に、もしかしたらという気持ちをいだかせてくれました。そんなに甘くはないことは分かっていても希望をいだかせる勢いがありました。“にわかファン”の私が触れる必要もないことは分かっていても触れざるを得ません。次にはどんな姿を見せてくれるのか“ワクワク感”一杯です。日本を元気にしてくれてありがとう。サッカー、スポーツって最高です。

1.“ドーハの悲劇”から29年目の快挙!

(1)  サッカーの面白さとは?

 私はスポーツ好きを自認しています。特に球技はやることも見ることも好きです。ただサッカーは本格的にやったことがないので戦術や楽しみ方を詳しく知りません。その私が感じたことを勝手に書いてみたいと思います。(息子はサーカー選手でしたし今も係わっています)

“ドーハの悲劇”を、“ロシア大会の終了間際の逆転負け”をリアルタイムで見た人は、少なくなっているのでしょうか?そのことがあるだけにスペイン戦のアディショナルタイム7分間の長かったこと。森保監督も試合後に「最後の1分間はドーハのことが頭をよぎった」そして「最後までボールを取りに行っている選手を見て日本は変わった」と感じたとも述べていました。本戦のクロアチア戦で予選の2試合のように「後半もう一点とれていればブラジルとの試合を見ることができたな」と後からなら言えるのですが、この一点がなかなか取れないのがサッカーですね。なぜサッカーファンは、熱狂するのか。他のスポーツとは明らかに違っています。きっとなかなか入らない点に対するいらだちの蓄積があり、それがゴールした瞬間にはじけるのではないかと思います。そして自分が選手と一緒に戦っているのでしょう。攻守が一瞬で入れ替わるスピード感もあると思います。わたしは、正直テレビ観戦をしていて「オーレ!オーレ」と拳をあげませんのでみんなすごいなと思っています。

(2) 過去の戦いの蓄積

 日本は、ワールドカップ7大会連続出場を成し遂げています。これだけでも素晴らしいことです。今大会の決勝トーナメント一回戦ではPKで負けてしまいました。終了後の選手たちの共通する言葉は心の奥底から絞り出した「悔しい」の一言だったと思います。以前のワールドカップの時の「敗戦での“悔しさ”」と今回の「悔しさ」とは、大きく違う気がします。勝ちにいっていたし、もっと先に行けるんだという強い意志を持っていた証であり、日本のサッカーがレベルアップをしている証だとも思いました。限りなく相手より走り続け戦った選手の心から絞り出した言葉を聞いて“うるっと”してしまいました。試合後に長友選手が代表して言っていたことは、「日本のサッカーは間違いなく強くなっている。これまでのW杯の先輩たちの経験が活かされている。そして後輩たちが今回の悔しさをバネにして今後もっと上にいってくれると思う」と。まさに「経験が大切」「その教訓を活かすこと」を実践してきた人たちがいて今回の快挙を成し遂げ、今後、ベスト16の壁ではなくもっと上をいく未来があるのではと予感させる大会でもあったと思います。突然、安全活動の話に無理矢理つなげると、私のモットーの一つでもある災害や辛い経験を「活かし、つなぐことの大切さ」に繫がります。(最後に本を紹介しています)「経験(良いことも悪いことも)」はしなければ分からないし、何事にも代えがたい財産だと言うことです。勝つこと(無災害)は大切ですが、負け(災害)た時の方が教訓は多いのも事実です。負けたことをひきずらず、災害が起きたことを悔やむだけでなく、ポジィティブに考え、次にどのように活かすかが今生きている私たちの責務だと改めて思いました。

(3) “にわかファン”はなぜ増えるのか

 感動を与えてくれること、良い意味で期待を裏切ってくれることが、マスコミを通じて関心を呼ぶのだと思います。特に国代表のチームの戦いであることから国民性も影響しているのだと思います。悪いことだと思いませんが、少し熱が入りすぎて負けた時、失敗したことを監督や選手にSNSなどで誹謗中傷することが問題になっていますし、私も行き過ぎだと思っています。どの国の選手も死に物狂いで苦しく厳しい練習などを乗越えてピッチに立っています。勝つことに越したことはないのですが、勝者は一チームだけです。負けたとしても次戦に向けた激励や反省を述べることは自由ですが、個人攻撃だけはやめてもらいたいと思っています。この点が行き過ぎると死者が出る暴動につながったり、昔は戦争にまでなったと言われています。この点は私がサッカーにのめり込めない原因かもしれません(応援する気持ちが高ぶることは良く理解できても‧‧‧)。試合そのものを楽しむ事で良いと思います。また、マスコミもゴールシーンばかりを報道しすぎるのも気になります。ゴールに至るまでの各選手の果たした役割や活躍をもっと取り上げてほしいといつも思っています。仕事で言えば結果も勿論大切ですが、そこに至るプロセスを評価しないと大切なことを見落とす危険性があると思います。日本の組織力の素晴らしさが多くの国から絶賛されているのですから、ゴールに至るまでの面白さ・素晴らしさを伝えてほしいなと思っています。会社組織にも通ずる考え方だと思いませんか?結果も大事だがプロセスはもっと大事だと言うことですね。

2.「メタ認知能力」って知ってますか?

 サッカーから少し離れますが、この言葉はある研修で他の講師が取り上げていて、はじめて聞く言葉でしたし、説明を聞いていると自分に当てはまるところも多いと感じてとても素晴らしい考え方だなと思いましたので受け売りですが紹介します。一緒に考えてみてください。

(1)メタ認知とは

 「自分の認知活動を客観的に捉えること」「自ら認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認識することを指す」のだそうです。自分自身の思考を客観的に見ることで、自分自身を制御することができるようになり、冷静な判断や行動が可能になるとのことです。俯瞰力と言っても良いかもしれません。鳥になって自分を見てみると言うことではないかと思いました。サッカーも選手の行動分析をPCでやっていますが、まさに鳥の目で動きを見て良い点・反省点を見つけ組織戦としての戦い方を検討しているのだと思います。

(2)青春ってすごく密なので”

  この言葉が、今年の流行語大賞の“選考委員会特別賞”に選ばれました。今年の夏の甲子園で優勝した仙台育英の監督インタビューを先回のブログで紹介しました。「“青春って密なので” このコロナ禍で諦めずに頑張った高校生全員に拍手を!」という言葉を聞いて教育者として、人間としての素晴らしさを感じたことを改めて思い出しました。自分たちのことより、頑張っている人全体への気配りができる視野の広さ、自分を客観的にみることが出来るからこそ正選手のみならず控えの選手にも目配り・気配りができる素晴らしい監督だと思いました。今年の秋の宮城大会で東北高校に10連覇を阻まれた時、他チームが「“俺たちにもできる”という自信が東北の高校に芽生えていることを感じた」と敗戦より東北全体のことを考えていました。まさにメタ認知能力に優れた人だと思います。日頃からメタ認知を習慣化して、自分の思考や行動を客観的に見るようにしているからだと思います。私たちも習慣化していくことが大切だと思います。 

(3)安全活動にもリーダーとしても活かせる考え方

  自分のことで恐縮ですが、私の辛い経験と多くの先生たちの教えや、先人たちの教訓などを重ねて安全活動のあるべき姿を構築してきました。そして多くの人達に伝えるために講義(講演)・現場指導をさせていただいています。聴講していただいた人はおわかりだと思いますが、情報や環境の違い、現場の状況などの要素が入り毎回違うストーリーになってきます。相手が違えば経験も立場もレベルも違う人を対象にするのですから当然の事です。私は、話している途中でもう一人の自分がいて次のテーマやネタとなることなどを指示している感覚があります。話しながら物語を作っていると言っても良いかもしれません(少し言いすぎかな?)。ある先生が「講義(講演)は聴く人とのキャッチボール」「ストレートを投げてもカーブが返ってくる」「常に相手とのコミュニケーションをとりつつ進めるので事前にストーリーは考えない」と言っていました。このことを私も目指してやってきました。常に自分を客観的に見る訓練「メタ認知能力」をつける習慣を自然にやっていたのかもしれません。多くの人がこうした考えで日々習慣化し努力したら少しでも誹謗中傷をすることが減り、ポジィティブで明るい世界が広がっていくように思います。管理者・リーダーといわれる人たちは是非実戦してほしいと思います。

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