ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2020年9月16日更新“新型コロナ禍”から考える教訓-2 ~行動の変化~

 第2波とも言われる新型コロナ新規感染者数の8月末現在の状況は、地域差はあるものの7月末ピークに、減少傾向になっています。しかし、収束したわけではないので3密などをしっかり守って行動していかなければならない状況は変わっていません。無症状者が多くいることがわかり(それでも検査体勢はいまだ不十分で全体像は不明)、症状や陽性判定がでる前に人に感染させてしまう危険性があるという本当に厄介な細菌だと言うこともわかり、誰でもいつ、かかるかもしれないという心労は続いています。3月以降、新型コロナ禍で皆さんの行動がそれまでとは違って色々と変化していると思います。また、自分達の行動を見直してみる良い機会になったことも事実です。6月号に続き、コロナ禍からの教訓を考えてみたいと思います。

 

1.数値へ慣れる怖さと危機への対応力

⑴ 瞬間値と傾向値の違いについて

 ”今日の新規感染者数は全国で800人”などの発表が毎日ニュースで流れます。”ピーク値の1600人余と比べ少なくなったな”と感じてしまうことがありますが、3月頃は100人を超えたとか、200人を超えたとピリピリしていたことを思うと、数値に対する鈍感さには自分自身も驚きます。大くくりした瞬間値などのニュースだけで一喜一憂するのではなく、母数であるとか、重傷者数とか、クラスター数とか、感染経路別とか、細部を知り傾向値などからもっと現状を正しく判断することが大切になっていると思います。

⑵ 日本人の対応力の素晴らしさ

 一部の人は、3密を守らず感染拡大をさせてしまっています。行政がもっと規制をすべきと思っているのですが、残念ながら経済を考えすぎて躊躇しているようにも見えます。まず命を守る行動を優先すべきだと思います。しかし、日本の多くの人たちは、行政に言われなくとも自制した行動をとっていることが何とか拡大を押さえていると思います。残念なのは「コロナ自警団」や「匿名の嫌がらせ」など一部いきすぎた行動です。日本全体しての対応をどうしていくかを考える事がより一層重要になってくると思います。

2.「騙されやすい日本人」著:宮脇磊介(TOPPOINT9月号)から抜粋(文責:古澤)

 コロナ危機に直面し、約8ヶ月経った今、私たちは何を学んだのでしょうか?表記著者が「覆い隠されている危機の構造」について書かれている本と出会いましたので、参考になると思い紹介します。

 「”族議員と言われる政治家の利権追及行動” ”官僚たちの国益を二の次にした省益追及の行動” ”マスメディアの思慮の浅い目先のトピックス追及行動”の3つが経済を悪化させ、国民の利益を日々損なっている元凶である(1986年に発せられた著者の言葉)」。現在も同じ課題を抱えているようにも思います。私たちに突きつけられたコロナ危機をどう捉え、一人ひとりがどのように考え、行動するかを考える材料として欲しいと思います。

  ※ 注)以下、「」内は著書からの引用文

⑴ 「疑うことを知らない・情報を鵜呑みにしてしまう日本人」

 欧米の識者が、日本と日本人を表記のように評しているそうです。「日本人は、提供される情報に対して信じられないほど無警戒である」とも。「情報を提供する者には、”騙す” ” 煽動する” ” 錯覚させる”など必ず何らかの意図や思惑がある。情報とはそういうものだと認識し、惑わされないようにしようという警戒心がない」と手厳しく書かれています。

⑵ 「危機を察知するには“直感力”が不可欠」

 「危機には、『突発的危機』と『構造的危機』があり、前者は、目に見える形で現れるのでわかり易いが、後者は、”時代の変化” ”新たな意識構造” ”制度の老朽化による歪み”などから発生し、気づきにくい。よって分析力とそれらに基づく”直感力”が必要である」。

 このことは、労働安全の現状ともにていると思います。”災害が減少しにくいのはどうしてでしょうか?”という質問をよく受けますが、方針の経緯と浸透状況、現場における活動の本気度や納得性、その他の課題(兆候)を聴き、現場観察をすると大体わかってくるものですが、中にいる人は意外と気づかないことが多い。この点が外部講師の唯一と言って良い?効果であると思っています。経験に裏付けされた”直感”を大事にしている私自身の考えに対して、この著書が裏付けしてくれました。

 著書では、直感力を養うには、次の3点に心がけることが必要と説いています。

① 「平素からあらゆる分野に目を配る」‥(安全のみならず、全ての領域に対して)
② 「幅広い知識と問題意識を持つ」‥(常に勉強し、疑問を大事にする)
③ 「問題を鵜呑みにせず、分析的態度を持つ」‥(森を見て木をみる、木をみて森を見る)

⑶ 「危機管理ができる人の3つの条件」

 「危機管理のできる人が、仕事ができる人」であり、そういう人になるための3つの要素が提示されています。

① 「スジを誤らないこと」‥「”本筋”でないことにエネルギーをとられないこと。そのためには、”知識”と”経験”が大切で全体をみることができるように訓練を積むことが大切である。」このことは、私の講義で必ず言っていることの一つで考え方が共通しています。
② 「読みが深いこと」‥「じっくり、深く物事を考えること」。5ナゼに通ずる考え方に似ているし、物事の背景要因をじっくり考える事にも似ています。
③ 「ミスを事前に察知」すること‥「平素から集中力を持って仕事をすること。失敗経験が豊富で、かつ、それを活かす事を知っている人は”危険察知能力”が高い」。正常状態などの基本をしっかり持ち、一つひとつの行動に集中すること。”失敗は財産、失敗を活かせば教訓”と言う考え方でポジティブにとらえ行動することが大切と言うことに通ずると思います。

3.モノづくりの原点と活かし方

 新型コロナ感染拡大当初、「マスクや医療現場のフェースシールド」など入手が困難となり、大きな社会問題となりました。企業にとっても生産活動に必要なマスクなどが不足する可能性が出るなど、中国など海外での製造に頼ってきたことの、つけが生じ始めていました。そこで国内の多くの企業がマスクなどの生産に急きょ乗り出しました。そのスピードが日本のモノづくりの底力だと感じたのは私だけではないと思います。

⑴ ココロハコブ(心運ぶ)プロジェクト(中日新聞から抜粋)

 トヨタグループの活動として紹介されています。マスクの調達が難しくなりつつあったとき、D社では、自動車部品の生産技術を活かし、一週間で設計図を仕上げ、一ヶ月半程度で1日10万枚の量産体制に入ったと紹介されています。「初めは、自社・グループ内への供給のみだったが、生産が安定してからは、近隣の保育園、福祉施設などへ寄付するようになった。また、グループ内でライン設計図を共有し自給自足を各社へ広げていった」。他にも「フェースシールド」「簡易ベッド」「簡易間仕切り」「患者移送用車両」「防護服」「PCR検査車両」などコロナ関連支援に対してスピード感をもって実施したと紹介されています。モノづくりで培った技術・技能、それらを実行できる人づくりの蓄積は、トヨタグループのみならず日本の企業の強みでもあり、誇れる危機対応能力(底力)と言えると思います。

⑵ 社会への還元・つながり

 ⑴に紹介したように、危機の時にこそ自社のみに限らず社会に還元しようという心が運ばれていることにホッとする気持ちを持ちました。「自動車も電動化や自動運転など急速な業界の変革にどう対応していくのかは、今回のコロナ支援と同じ発想で、社会の困り事に対してどう解決するかという発想に変わっていかないと生き残れない」と紹介されています。「結局、新しい技術を使う基盤になるのは、モノづくりの技術。今回のコロナ支援は、手でものをつくる大切さ、楽しさを改めて確認できた。短期間で必死に考えた経験はまた次に必ず生きる」と言う言葉でまとめられていました。積み重ねの活動の大切さ、カイゼンをやり続けることなど基本は、どのような時代になっても変わることのない営みであると思いました。「モノづくりは人づくり」の考え方そのものだと思います。

 

 コロナ禍の教訓をどのように捉え、どのように今後に活かしていくかが私たちに課せられた課題だと思います。安全で安心できる世の中であってこそ、高校野球もプロ野球などのスポーツも大声を出して楽しめるし、旅行などもできるのだとつくづく考えさせられました。

 私自身、社会人になってからこれだけ長く家にいることは初めてです。マグロのように動き続けていないと死んでしまう?と思っていましたが、リモートで打ち合わせや指導をやり、新しい活動方法も一部見えてきました。私生活では、家庭菜園で面倒見(現地現物での野菜とのコミュニケーション)の時間が増え、かつてない収穫になりました。また、朝食の準備を私が担当する事にしました。昼や夜の食事準備も時々やるようになりました。洗い物などの片付けは、結構、はまっています。長きにわたり食事の準備・片付けをやり続けた妻の大変さも少しは分かり感謝の気持ちも強くなりました。逆に妻からも喜ばれています。行動を見直す事ができ、コロナ禍も使い方によっては、”まんざらでもない?”ですね。

 

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