ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2016年8月17日更新「みる」と「みえる」の違い

1.ルビンの壺(盃)知ってますか?

「ルビンの壺」とは、心理学で語られるモノクロの絵のことで、一種のだまし絵とも言われます。白い壺(図)を見つめていると、背景(地)の向かい合っている人物が見えてきます。人物を意識して見つめていると、白い壺に切り替わります。

ルビンの壺

講義・講演の場で多くの人に試しますが、ほとんどの人が4~5秒で切り替わります。これが人の特徴で、いかに集中することが難しいかと言うことを表していると思います。長い時間「集中しろ!」と言ってもそれはムリなことだと言う教訓です。

「みる」と「みえる」についてもう少し考えてみましょう。例えば、災害発生箇所の写真は記録としても大切ですが、一部のみの情報になってしまい、その職場の全体を見ることが出来ません。しかし、現場に行くと全体が見えます。その中に大事な情報がある場合が多いのです。

大切なことは、全体が「みえる」ことも大切で、更には、現象の細部を「みる」意識が大切だと言うことです。別の言い方をすれば「森を見て木を見よう」あるいは「鳥の目とアリの目を持とう」と言うことかもしれません。

部下の変化が分かりますか? 全体を見ている中で「いつもと違って元気がないな」という人がわかって来ます。これが「みる」と言うことです。意識しなければ何も真実がみえてきません。考えてみましょう。

 

2.色使い、表示について考えてみましょう

作業現場で安全対策の一つとして行われている、色の使い方や注意表示などが、結果として人を騙すようなことになっていないでしょうか?

赤色、黄色、白色の使い分けはしっかりしていますか? 色使いが統一されていない場面を良く見受けます。

例えば、非常停止釦(ボタン)は「赤色キノコ型釦(下地は黄色)」と決まっています。赤は「危険!異常!」等を表しますが、黄色であったり黒であったり、あるいは、同じ工場内でも統一されていないなどが見受けられます。

緊急事態の時にパッとよく「みえる」ように赤色を使っています。交通信号の停止が赤色と言うことも同じことです。いざという時に人は、パニックになります。パッと見つけることができるようにしておく必要があります。

安全柵や手摺り、カバーには、黄色が使われることが多いです。しかし、機械色であったり、全体を黄色で塗ったり、部分的であったりまちまちのことが多くあります。各社あるいは、各工場単位で考え方を決めておく必要があります。

例えば、安全柵すべてを黄色に塗ることも良いのですが、工場内全体が黄色くなっていることはありませんか? 何処が危ない箇所か分からなくなってしまいます。

黄色は、注意表示です。「ここは危険ですよ、ここから先は危険ですよ」と言うことを教えるためです。そのためには、危険箇所が「みえる」事が大事になります。「ここから先は危険」と言う考え方とすれば、手摺りの上段のみを塗装するとか、固定した柵は危険ではないので機械色として「入口の枠」のみ黄色に塗り、「ここから入ると危険箇所がありますよ」と言う表示へ切り替えるなど、メリハリをつけると良いと思います。

代表的な表示に「挟まれに注意」等があります。機械・設備製造者が、読めないくらいの大きさで注意表示を貼ってある場合があります。PL法(製造物責任法)の関係で責任を逃れるため(?)に貼ったり、現場の人たちがヒヤリハット対策で貼ったりすることが多いのですが、現場の人たちは、ほとんどみることはありません。表示そのものが「景色」や「壁のシミ」になってしまっていて「みえていない」「みる意識にならない」ことにつながっています。

人の視野範囲は、目より上が5度、下が10度と言われています。作業に集中すれば一点しかみえなくなります。パッとみえるような表示、みる必然性が出る表示というキーワードで「表示の2S」をしてみましょう。「”注意”表示は要注意!」です。

 

3. なんか変だな? いつもと違う?

 「危険源を観きる」ことが現在の安全活動では重要なポイントになっています。現場の見方の一つに「なんか変だな?いつもと違うな?」と感じることが大事だと思います。

機械から出る音がいつもと違う、部品やパレットなどの置き方・数が違う、作業者の動きがバタバタしている?顔色が悪い‥‥など日々みることで、違うことに気づきます。まさに、現場の変化点をつかむことができます。

そして、その延長線上に起こる「最悪の事態」を想像できるかどうかにかかっています。最悪の事態とは、爆発や火災など生産に大きな打撃を与えることや、作業者が死亡災害や、障害災害になってしまわないかという視点です。

実は、この視点こそがリスクアセスメントそのものと言って良いでしょう。その視点を持つ人の育成のためには、それまで発生している(企業内、業界内など)災害事例などから「どうしたら災害を起こすことができるか」を考える習慣をつけるための発生パターンを持つことです。

現在発生している重篤災害は、ほぼ100%再発です。起きてから対策が打てるのであれば、事前に一つでも対策を打つことが大切なことは言うまでもありません。「事後の100策より事前の一策」です。「みる視点」を作成して教育・人の育成につなげてください。

 

4. 「現地・現物」は仮説(答)を持って行くことなり

 作業者は日々の生産活動に一生懸命です。作業する人が安全を意識せず生産活動に没頭できることが理想です。そのためにも危険源の洗いだしは、管理者・監督者の仕事であるとも言えます。経験も深く、知識も豊富な人たちがもっと現場で危険源を「見つける」努力が必要だと感じています。

「管理者が現場で語っている会社は良い会社」と教えられ、実践してきました。口で「やれ!やれ!」と言うだけでなく、自らが現場で機械・設備の状況や作業者の行動を観察することです。目的を持たず現場に行くのではなく「仮設(答)を持って行く」ことを教えられました。

「今日もあの設備が異常発生で停止しているはず。A君が設備の中に入って作業をしている。手順を守っている。」など、自ら「物差し」を持って現場に行けば即・違いに気づくことができます。

正しくやっていれば「いつもしっかりやってくれてありがとう。頼むな」と声かけし、もし違っていれば「やりにくそうだが良い方法を考えよう」と一緒になって考え、相手に気づかせることができます。「いつもみているよ」と言うメッセージにもなります。

観察場所を絞るポイントとして ①設備停止が多い工程  ②品質不良の多い工程  ③工程変更や人の入れ替えがあった工程 などがあります。課題のない職場はありません。いつも現場から「みえる」状態にしておくこと、そして課題を「みる」と言う意識で、常に現場を良くしていく活動・カイゼン活動へつなげていきましょう。

 

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