ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2018年12月19日更新”腹落ちさせる指導”について考えてみよう ~その4(最終回) 「足:踏み込む」について~

下記の本の教訓に、今まで自分の考えてきたことや経験を重ね合わせ、少しでもお役に立てれば・・・との思いで4回にわたって “腹落ちさせる指導”について書いてきました。とりあえず今回で終了としたいと思います。一つでもお役に立てたら嬉しいです。

・引用した本:「なぜ、あのリーダーはチームを本気にさせるのか?」

広江朋紀(ひろえ とものり) 著 (同文舘出版 1,500円+税)

私が愛読している「TOPPOINT AUG.2018」に紹介された。

・引用文の印:私の勝手な解釈が入ることをお断りしておきます。以下、広江氏の著書から引用した言葉には“*”をつけます)

 

1.「*踏み込めないマネージャー」が増えている

 過敏になりすぎる「パワハラ」「セクハラ」や時代・環境の変化などから、「*相手に踏み込んでダメ出し型のフィードバックを行う”骨太”のマネージャーが減少し、結果、組織のモチベーション低下を招く要因になっている」とあります。

安全活動は、「人の命を守る活動」であり、ダメなことはダメ、良いことは良いと言わなければならないと思います。しかし、どういう職場にしたいのか、どういう企業人(人として、人間として)にしたいのか‥を持たない人が増えているように感じています。

また、PC操作時間の増加や会議・打ち合わせなどで、現場へ行く時間が20%を切っているという報告もあるように、現場へ行かなくなっている実態から、踏み込むどころか”丸投げ”している人が多いことも事実としてあります。まさに足を使っていないのです。著書では「*部下の心に火を灯すダメ出しフィードバック、”薪+FIRE”」の観点を、下記のようにあげています。

 ‥「*火を灯す薪の土台を整える必要がある。自分が相手を見下していないか、非を責める気持ちがないか確認する」
⑵ “F”act‥「*人は、先入観、憶測、解釈などで伝えられると反論したくなる。直接、見聞きした事実に基づいて伝えること」
⑶ “I”message‥「*自分を主語にして自分の気持ちを相手に伝えること」相手を責めるのではなく、“自分はこう思う”という言い方が、相手にメッセージが届きやすくする。
⑷ “R”equest‥「*相手に対して改善に向けた要望・提案を行う。その時、要望の的を具体的に絞ることが大切。抽象的では何をすれば良いのか全く伝わらない。また、否定形でなく、肯定形にすると効果的である」
⑸ “E”pilogue‥「*改善の実施が本人の成長や組織へどんな成果がもたらされるのかを伝える。リーダーも本人も周囲にとっても納得できる ”三方よし”の結果になる事が大事なことだ」

2.「足」の解釈

著者と共通部分もありますが、少し違った解釈もあり、現在、私が実施している現場観察指導方法である「定点観察と相互観察」のポイントから「足の解説」をしてみます。

⑴「現地現物」の重要性

「現地現物主義とは、物事の本質を正しく把握し妥当な問題解決をする絶対的な基本である。”ナゼ”を5回繰り返せ。現地現物によって人間の”勘”が養われる。人間の能力で”勘”は正否の決め手につながる。五感を鍛えねば技能(スキル)は伸びない」と先人の教えを受けてきました。「管理者が現場に行って語っている職場は良い職場である」とも言っています。

現場はウソをつきません。問題も答も現場にあります。足を使って勘を鍛えてこそ、”腹落ちさせる指導”ができる言葉・行動がとれるようになると思います。

⑵「具体化・具体的表現」を心がける

安全パトロールの結果を見ると、「5S」が中心になっていませんか? 指摘合戦になっていませんか? 同じ指摘が続いていませんか? 何故こうなっているのに変えられないのでしょうか。

指摘の内容に抽象的で具体性がなく、また、現状(機械故障が多い、生産が繁忙‥)との乖離があり、納得性がないなどの課題が多いと思います。具体的表現を心がけていくだけで大きな変化が感じられるかもしれません。

⑶「“頭”‥考える。」一緒になって考える事の重要性

「“頭”‥考える」は、今回のシリーズのその5に相当する項目になりますが、省略してしまいました。しかし、この点は大切なポイントです。指摘も大事なのですが、現場ではどうしたら良いのか分からないし、反論できないので分かったふりをしているケースが多いのです。改善のヒントを付け加えることで納得性が高まります。

20〜30%程度のヒントを付け加えて「改善提案」をすると、意外と腹落ち・納得性が出てきます。答を100%言うと、やらされ感一杯になってしまいます。また、理想論だけ述べることは最悪と言っても良いでしょう。

常に「ありたい姿」を頭で考えつつ、現状との差を見極め提案する力が求められます。場面に応じた方向性を示し、やる気(欲)を引き出すことが大切です。そして、現場と一緒になって考えると言う姿勢がとても大切になります。 

⑷「現場に手柄を持たせる」

 ”三方よし”とありましたが、私は、現場が”楽に作業できる”ようになる改善であり、現場が達成感を味わうことが一番大事だと思います。現場の強さが企業の強さです。自ら課題を見つけ、改善活動をやり続ける人の育成につながらなければ、安全活動は意味のないものになってしまうと思います。まさに「現場目線」の活動です。

⑸ 「“ありがとうございました”」と、言われる巡視の実施

多くの企業で質問しますが「ありがとうございました」という言葉が返ってくる安全巡視をやっている人の少なさに驚きます。同じ会社の人が、同じ目標に向かっている中で、何故「面倒くさい。うっとしい」などと言われる巡視を続けるのでしょうか? 

正しいことをやっている人たちが99%だと思います。良いことは褒め(認める)、課題に対しては指摘でなく、改善提案をするという形ができれば、必ず「ありがとう」と言う言葉が返ってくるはずです。

「小さな改善ができたら、更に褒め、次のステップを提案する」ことの繰り返しが大切な事は分かっているはずです。「上司は、気づかせ業」とも言います。人を育てるには、我が子を育てるのと同じで時間がかかり、根気がいるものです。常にポジティブに取り組めるように言葉使い、雰囲気作りにと知恵を使っていきましょう。

3.「腹落ちさせる指導」について

4回にわたって、広江朋紀(ひろえ とものり)氏の著書から引用させていただく形で、皆さんと一緒になって考えてきました。いかがだったでしょうか。一つでも“腹落ち”した点があれば嬉しいです。

私が現場指導研修を実施した後で受講者から「先生のように、なかなかうまくいきません」と言う声が届きます。いきなりはできません。この4回で書いたことを自分なりに解釈をして、一つずつ行動に移し、経験を積んでいけば必ず良い結果になると信じています。

スポーツでも仕事でも、振り返って見れば、納得していなくともやらざるを得ない中で、まずやって見ること、やっていくうちに納得性や “あっ!これか”という気づきが誰しもあったはずです。焦らず一歩一歩です。

今年の流行語大賞は「そだねー」(LS北見・カーリング女子)でした。私の予想が当たり嬉しく思っています。壁に当たった時に仲間と話し合って「そだねー」という言葉が出るように日頃から訓練したいものです。そしてトップテン入りの「ボーっと生きてんじゃねーよ!」(NHK チコちゃんに叱られる)とチコちゃんに言われないように、言葉の意味を大事にして、活動の背景を理解してより良い安全活動の推進をしていきましょう。

 

追)今年1年、ご愛読いただき心から感謝します。多くの方に読んでいただき皆さんの励みや推進力の一助になっている事を願っています。実践した結果やご意見などをお聞かせ頂ければ嬉しいです。良い年をお迎えださい。

 

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