ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2017年2月15日更新非定常作業に特化した活動‥その2 ~洗い出しのキーワードとカイゼンの実践~

1.「非定常作業」をターゲットに何か行動を起こしましたか?

「1月号のレポートを読みました。参考になりました。おもしろかったです‥」と読者となった人たちから声を掛けられることも多くなってきました。このブログ記事を楽しみにしている人も多くなったと聞きます。嬉しいことです。

私の講演・現場指導の柱となっている「重篤災害防止をキーワードとした安全活動のあり方」を聞いてくれた人たちの感想も色々ですが、皆さん「やることが見えてきた」「“死ねる”危険源と言う視点で見たら、今までパトロールを何回やっても出なかった設備や作業で新たな危険源が目につくようになった」「いままでの安全活動は何だったのだろうと思った」など行動に結びついている言葉をもらっています。

私は、「実践なくして成果なし」という言葉を大事にしています。良いと思ったらすぐやってみる。変だな?と思ったらすぐ行動に移すことが大事だと思っています。すぐに解決できるかどうかではなく、すぐ動くことが大事だと思うのです。是非、この記事を読んで“ハッと”気づくことがあったら行動してほしいです。そしてその結果から得た成果・教訓・反省など何でも良いので投稿してほしいと思います。このブログを読んでいる人たちの経験と思いが共有化されていくことで、きっと大きな輪になって広がっていくことと思っています。

私が現役の時、機械工場の管理者をメンバーとしてプロジェクトチームを作って10年ほど展開しました。私と事務局のメンバーは代わらず、メンバーは毎年変えて推進しました。現場では、非定常作業がいかに頻発しているかをまず知ってもらうこと、そして現場で監督者や作業者と語り合い、課題を洗い出し対策に結びつけてきました。

災害の傾向は、分かっていたものの私も非定常作業に関する活動の知識がなく、落としどころも方向も分かりませんでした。しかし、毎月現場を回って議論していけばいろいろな知恵が出て、積み重なっていくものだと思いました。それらの実績を毎年「つなぎ」そして「新たな発見」を積み重ねていく事で大きく災害を減少することができました。

と言っても“非”定常作業ですからゼロにはなかなかなりません。永遠の課題なのかもしれません。是非、今できることから、そして長い目で見た活動を提案して推進して下さい。

 

2.「止めると出来ない作業」「守りにくい・守れない作業」の洗い出し

止めず災害が発生すると決まって「ナゼ?止めろと言っているのに止めないのだ」「信じられない行動をする」また、同じ職場の仲間も「私は絶対あんなことはしない」などの”きれい事”が聞かれます。「災害が発生してからなら誰でも言える」「安全衛生は楽な仕事だな」と安全スタッフ業務をスタートしたときに昔の仲間から言われた言葉を思い出します。

災害が起きたときは、確かにやった人も悪いのですが、私の経験からすれば、大変優秀といわれている人が、大きな災害を経験しています。つまり、積極的に生産を維持しようという姿勢がそうさせていることも少なくないのです。

では、災害が発生する前に、何をすれば良かったのでしょうか? 管理者やスタッフは「災害を起こしてしまった」と考えるのではなく「災害を起こさせてしまった」と考えなくてはならないと思います。

前者は、「やった奴が悪く、私は悪くない」と言う言葉であると、ある役員が教えてくれました。「自分の部下は、自分の子供と思え」と教えられたと良く講演でも話します。自分の子供に「命をかけてやれ」という親はどこにいるのでしょうか? 「どうしたら災害を発生させなかったか」と考える事です。

T社には、「止めて直すDNA」が脈々と受け継がれています。織機の自動化の時代から「縦糸一本が切れたら止めて原因追及と対策をしてから動かす」ことが行われていました。不良品を出し続けないという合理的な考え方だと思います。

しかし、現実は、「生産第一」が現場です。設備が再三停止していたのでは、生産ができません。そんな時に、止めて直せと言っても、現場の人の立場では、「そんなことやっていられるか」「俺は大丈夫だ」と止めずにやってしまいます。その結果として災害につながってしまいます。

「非定常作業(異常時)は止めてやれ!ルールは守れ!」と言われている人たちが、「守れません」と言うでしょうか? プロ意識の高い人が言うはずもありません(そういうことが素直に言える職場が理想です。そういう職場があったらどのような活動をしているか教えてほしいです)。

先月号にも書きましたが、管理者やスタッフが現場で作業者と一緒になって考える姿勢を示さなければ絶対に「実は‥」と言う言葉が出てきません。管理者が「これだけ設備が止まっていてはルールなんか守っていられないよな」「俺でも止めずにやってしまうかな」などと作業者目線にたった発言をするなどして共に考え、共に対策をとっていく姿勢を示さなければならないと思います。私の永遠のテーマでもあります。

「止めると出来ない作業」「守りにくい・守れない作業」の洗い出しこそ非定常作業時の災害防止に直結します。

3.設備の開口部は人を誘う

 カイゼンのキーワードは、「故障を少なくすること」は当然ですが「止めやすく・復帰しやすい設備」とする事が代表的な対策だと思います。止めないで作業することの背景には、「止めたら復帰が面倒くさい」「止める=全てのエネルギーを遮断するとあるが時間がかかりすぎる」などがあります。

昔話になりますが、ロボットの初期段階では、動作途中で止めると、原点復帰に2時間もかかるということがありました。「何処で止めてもすぐ原点復帰する回路を作ればいいのではないか」と技術者に持ちかけました。結果として今では当たり前になっている「原点復帰釦(操作)」ができるようになりました。そうすれば迷わず止めることも出来るようになります。

隔離の原則が徹底されても、品物が通る入口と出口は必ずあります。ここは、光線式安全装置で遮断する方法が一般的にとられます。しかし、安全用ではない物体の有無を検知する一灯式エリアセンサーを使用していたり、光軸の幅が広い状態のものを使ったりしているケースを多く見かけます。

また、柵と光線式安全装置の固定軸との隙間が空いていて、そこから入ることができる隙間が存在する、もっと言えばその隙間から入っている足跡も確認出来るなども散見されます。私は、「けもの道」と言っていますが、それを現場で観察するだけでも人の行動が分かります。

開口部に安全装置がなく「立入禁止」と札がかかっているだけの場合があります。私は、この札を「気をつけて入れ!」と読み替えます。何度も書いていますが、生産第一を最も大事にしている現場心理をよく理解した上で展開してほしいです。言い換えれば「やりにくい作業のカイゼン」と言うことも言えます。

現場が「楽になる」ための改善は、誰も反対しません。非定常作業は、生産性を阻害しています。災害を誘発しています。それだけにカイゼンの対象として当然クローズアップされるべきです。このカイゼンが進めば必ず生産性は上がるはずです。

災害が起こる前にいかに課題を見つけ、課題の共有化をして小集団活動などへ結びつけていかねばなりません。これは、安全活動ではないかもしれません。しかし、「どうしたら死ねるか」と言うところから入るとカイゼンの的が見えてくると言う良さ?があると思っています。是非やって見て下さい。

4.前提条件は「隔離の原則と停止原則」の徹底

 現在残っている大きな課題は、隔離の原則が徹底できていない設備とも言えます。人はミスを犯します。設備は故障します。この前提からまず「隔離対策」「停止範囲の明確化」をする事だと思います。何も策もうたずに、この対策をすれば、生産性は20〜30%は落ちるかもしれません。場合によっては生産が成り立たないケースも出てくると思います。

このことは、逆に従業員に「命をかけてやってくれ」と言っている作業がそれだけあると言うことだと思います。これは、経営責任と言えます。隔離と共に止めることのできる設備の保証、そして止めたことの維持の保証をする事は会社責任です。このことはもう少し先に詳しく述べたいと思います。

こうした前提の元、カイゼンを繰り返し「シンプル・スリム」な設備・行程ができた会社は、利益を上げ競争に打ち勝つ企業体質になっていきます。

何処に予算を掛けるかというマネジメントそのものでもあります。「人命尊重」「安全は全てに優先する」「安全第一」という理念を掲げるのであれば、当然”セフティ・ファースト”の予算設定をすべだと思います。経営者・技術者・安全スタッフの皆さん、いかがでしょうか?実践なくして成果なし」です。

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