ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2018年3月23日更新気づかい・個のレベルアップとチームワーク ~平昌オリンピックの感動からの教訓~

1.感動は人が極限に立ち向かう姿

 多くの感動・名場面を届けてくれた平昌オリンピックが”無事”に閉幕しました。開幕前の政治色が前面に出た報道で、正直感心が薄れていました。しかし、鍛え抜かれた人たちによる戦いを見ているうちに、”スポーツはいいな”という感動に浸っていました。

 参加した人たちの高いレベルの中での戦いだからこそ感動を呼ぶのだと思います。メダリスト達はもちろん素晴らしいですが、自己ベストを出した人、運悪く実力を出し切れなかった人、それぞれの頑張りに金メダルをあげたいです。

 今回は、唐突ですが、オリンピックの中に見た「安全活動」に関係することを、私なりに書いてみたいと思います(結構無茶ぶりですが・・・)。

2.記憶に残る言葉

【1】 私の中でトップは、やはり女子スピードスケート・小平奈緒選手の言葉です。見事オリンピックレコードで優勝した500m、2位だった1000mが終了したときに言った言葉、「ゴールの向こうを見て滑りきれましたです。

 水泳の北島康介選手がやはり優勝したときに同じ言葉を言っていました。「ゴールを見て泳ぐから最後の“一かき・タッチ”が流れて勝てない日本選手」「ゴールは5m先だと思って泳ぎ切れ」と、メンタルコーチから指導され勝てるようになったと言っていたと記憶しています。

 安全の仕事も「災害ゼロ」がゴールではないと思います。「ゼロゼロと言っているだけではゼロにはならない」のです。もっと先に本当のゴールがあると思います。

 今までも書いてきましたが、「災害は職場の問題の代表特性」なので、その背景要因をカイゼンしていくこと、その結果、働きやすい環境やルールを守りやすい環境ができ、改善を通じた人づくり・職場づくりにつながるという目標に向かっていくことが、結果としてゼロ災害も見えてくると言うことなのではないでしょうか。

 

【2】 2つ目は、女子パシュートです。「一糸乱れぬ隊列」は見事でした。今年の流行語大賞候補だと思います。先回の大会で僅かな差で敗れ、この4年間でその差を埋めた見事な金メダルでした。

 私は、陸上もリレー競技が好きです。結果がはっきりすることと、戦う過程を楽しめる(手に汗握る)からだと思います。陸上の男子400mリレーも同様でした。体力的に劣る面を技術とチームワークで乗り越える、これこそ日本人のDNAだと思います。

 凡人には分かりませんが、そのための訓練はどれだけ厳しいものだったか。安全活動でも、個のレベルを上げなければKYもRAもできませんし、カイゼン活動などとてもできないと思います。個のレベルを高めていく訓練を小集団で継続し、実施していく中で、「お互いに切磋琢磨」した結果として、レベルの高いチームワークができるのではないでしょうか。

 

 【3】3つ目は、カーリング女子「カー娘」です。「そだねー」も流行語大賞候補でしょう。これもパシュート同様個性を大事にしたチームプレイだと思います。「誰も口に出して言わなかったが、メダルを取ることを心に誓って狙っていた」と言いました。

 選手が「負けたと思った。相手の最後の一投が微妙にずれ勝つことができた」と言ったほど微妙な戦いでした。「氷の神様が味方した」とも言っていましたが、どんな失敗があっても「失敗を補い合う」ことで、立ち直る強さが勝利に導いたとも言えると思います。「笑顔が人を前に向かわせる」事も大事です。「カー娘」の笑顔が見ている人の心を熱くしたのではないでしょうか。

 災害は、起きます。でも、それをどのように活かしたかで結果が違ってくると思います。「活かし・つなぐ」ことの重要性です(ピンチはチャンスという考え方で災害を活かす)。

 また、「不言実行」と「有言実行」とありますが、私は常に“後者”を自分に課してきました。 逆風の中で始めた「安全」という仕事でした。言わなければ相手に伝わらない。3割の確信でも、やりたいこと、あるべき姿を言い続けてきたことで、安全活動を大きく変えることにつながり、結果として災害も減少して、シンプルでスリムな生産ラインづくりにつながったと思います。

 厳しい顔をしていては、仲間は集まってきません。笑顔でのコミュニケーションが大事です(笑顔はコミュニケーションの入口です)。見習いましょう。

 多くの選手が大会前に「金メダルを取ります」と言うシーンが増えています。有言実行タイプなのでしょうが「簡単に金メダルと言うなよ」と思うことも多いです。昔では考えられません。自分にプレッシャーを与えて奮起するという気持ちは大事です。結果も大事だけど、自分のやってきたことをしっかりやる事(挑戦するプロセス)がもっと大事なことだと思います。結果は後からついてくると思います。さて皆さんはどちら派ですか。

また、チームを作った本橋選手は、この銅メダルは「よく頑張ったねと言うご褒美という意味と、もっと頑張れるという二つの意味を持つ」「まだまだ先がある」と、言っていました。安全巡視のキーワードに似ています。「良い点を褒めつつ、カイゼンポイントを探し、より良くしていく活動」です。謙虚な気持ちと言葉が、さわやかさを運んでくれました。

 【4】次は、多くの選手が口にしていたことです。人は一人ではない。一人では成し遂げられない。多くの人と関わってこそなしえることができたと感謝の言葉を口にしていました。どちらかと言えばマイナーなスポーツが多く、企業等からの支援も多く受けられない中で頑張っている選手を、陰で応援してくれる人たちがいるのです。

 特筆?に値するのは小平奈緒選手を支えてきた「相澤病院、相澤院長」ではないでしょうか。「相澤病院に金メダル」をあげたいです。新聞情報しか分かりませんが、「地元の選手が地元でやりたいと言っているのだから、応援しないわけにはいかない」とサポートを続けてきたというのです。

 小平選手もその声援に応えるように、結城コーチなどとトコトン、スケートを追及して結果を出しました。どんな形であれ、人は必ず支え合っています。会社は組織です。感謝の気持ちと支え合う気持ちを忘れずに進みたいものだと改めて思いました。

3.気づかいのできる人・言葉

【1】 キャプテンを務めた小平選手が言った言葉「百花繚乱」は素晴らしかったです。メダルを取った人も、とれなかった人もそれぞれの場で花を咲かせてくれました」「世界の人とのつながりを感じましたと挨拶をしていました。オリンピック選手になるだけでも大変なことです。各国の人たちも皆さん頑張って頂点を目指しているのですから、この言葉は、スポーツの与えるすばらしさを表しています。

 私は、「組織は、縦糸と横糸できている。もっと強くするためには、斜め糸が重要」と話してきました。スポーツは理屈抜きで「斜め糸」の役割を果たしてくれます。強い糸です。

 スピードスケート女子500mの競技終了後、小平選手が泣きじゃくる韓国・李相花(イサンファ)選手に寄り添い、肩を抱き寄せ「頑張ったね。私は、今でもあなたを尊敬しているのよ」と声をかけたことが、韓国内でも絶賛されたと書いてありました。

 勝負が終わった後のすがすがしい行動は人の心を打ちます。こうした言葉・行動が出る人になりたいなと改めて思います。

【2】小学校のいじめと先生の態度

 話題は全く違いますが、「神奈川県のある小学生が同級生のいじめによって長いこと不登校になっている」と言う記事が目に付きました。調査報告書の担任教員は、“「当初は、いじめに気づかなかった」と言っていたが、「面倒だと見て見ぬふりをした」という。「助けを求める手に担任は背を向けてしまった。その子の痛みと絶望の大きさはいかほどだったのかと想像する」”とありました。一人の問題ではなく、組織としての問題を含んでいます。

 私は「面倒見の良い職場」を見てきました。新人に対して挨拶の仕方・酒の飲み方、付き合い方、そして仕事のイロハからたたき込むなど、社会人とし企業人としての基本を教える兄貴分や親父がいました。「教え教えられる風土」と言うものが長い時間掛けて醸成されている会社は、結果として成長しています。「人がモノをつくるのだから、人をつくらねばものはできない」と言う言葉につながります。

 今回の冬期オリンピックで、選手達、選手を支える人たち、応援する人たちから多くの事を気づかせてもらいました。もっともっと良い職場、良い社会にしたいものだと思います。

 

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