ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2026年3月18日更新失敗は許せますか?活かしていますか?

 4年に一度の冬の祭典“ミラノ・コルティナ冬季五輪”は、今回も多くの感動を残して終了しました。私は、夏に比べ冬は苦手なので冬のスポーツはあまりしません(TV観戦はします)。唯一“スピードスケート”に凝っていたときがあります。コーナーでは、クロススケーテイングもできましたし、結構早く滑っていました。その経験からも、ほぼ“μ=ゼロ”の世界で立っているのも大変な氷や雪の上であれだけのパフォーマンスができることはすごいと思います。出場全選手に拍手です。日本は、過去最高の24個のメダルを取りました。感動も多くもらいました。今回は、その中でもフィギュアスケートペアで逆転の金メダルを取った“りくりゅう”の活躍から表題について考えてみたいと思います。

1.SPを失敗して5位からの逆転が感動を呼ぶ

(1) 信頼関係の強さ

 ショートプログラム(SP)では、得意のリフトでコンマ何秒手を出すのが遅くなり、演技がわずかに途切れてしまい5位で終えました。木原龍一選手は、「終わった」と泣き崩れ、終了後もズーと泣いていたそうです。しかし、9才年下の三浦璃来選手は、毅然として励まし続けていました。「私たちには積み重ねたものがある。まだ終わっていない。ノーミスで行けば可能性はある。龍一君のために滑るね」と声をかけたことで木原選手も心を奮い立たせたと報道にありました。そしてフリーでは、ノーミスの完璧な演技で「世界最高得点」をたたきだし、見事に金メダルに輝いたのです。6年半前、トライアウトで出会い、「体に雷が落ちた」と木原選手が感じて組んだペア。13年前に団体戦が始まったそうだが、常にペアが弱点と言われていた記憶が私にも残っています。それを結成3ヶ月でNHK杯5位、22年北京大会団体銀、23年世界選手権を制覇と実績を積み重ね、自信と信頼関係を築き上げてきたからこその金メダルだったと思います。信頼関係とは言葉では簡単に言えますが、なかなか難しい。同じ目標に向かって苦しみながら経験を積み重ね、失敗を重ね、それを活かしてこそできあがっていく、時間がかかるものだと思います。

(2) チームジャパンの力

 今回は、現地で2年前から練習会場を確保してフィギュア全員が同じ場所で練習を重ね、生活したそうです。“りくりゅう”が5位で終え宿舎に戻るとバスの降車場に坂本花織選手(団体・個人銀メダリスト)が待っていて「積み重ねてきたものがあるから大丈夫」と声をかけてくれたことも大きな力になったと三浦選手が言っていました。木原選手と最初にペアを組んだ「高橋成美」さんの解説がすごかったです。これまでの苦労や努力の過程を知っているだけにフリーが終了したときに、「すごい、すごい、すごい‧‧‧」と8連続で叫んでいたし、「宇宙一の演技(得点にならなくてももっと上を目指した演技に対して)」とも表現していました。こういう人たちに囲まれてとった金メダルとも言えると思いました。

(3) 「つなぎ、活かす」「継続と継承」が大切

 終了後のインタビューで木原選手が「先輩たちのつないでくれたものが僕に回ってきて、4大会つなぐ(参加)ことができた。日本のペアの先輩に心から感謝したい。日本がペア大国になるために頑張りたい」。先出の高橋さんも「いろいろな方が道を切り開いてくれた。龍一がそのピースを少しずつ集めつないでくれた」。自分のことだけでなく、先人に感謝して、更なるより良い世界を築いていくという考え方がすぐに出てくることが人間的に素晴らしいと感じます。

どの世界でも同じだなと感じました。私たち安全衛生を担当する者にとっても言える事だと思います。大切なことは、後戻りせず、少しずつでも前進しているかという問に答えられる活動をすることだと思います。夢は大きく、活動は一つひとつきちっと積み重ねること以外に方法はないと思います。今回は、「諦めないことの大切さ」を改めて教えられました。

2.失敗を許さない企業風土が増加

(1) 失敗しない人生は人生を失敗する

 この言葉は、どこかで本か新聞を読んだときに、自分にインプットして今でもよく使っている言葉です。私の若い時代は、日本が経験をしたことのない高度成長期でした。誰もやり方や知識がない中、挑戦をし続けていました。教えてくれる人もいない中で必死に仕事をしてきました。失敗はつきものでした。背中に冷や汗が何度も流れました。先輩が「次に活かせば良い」と言ってくれたことがどれだけ力になったか。この頃の経験者が海外へ工場建設をするときに大きな力になりました。大学を出たからといってすぐにはうまくいかず、青い顔をしている人を多く見ました。今は、時代が違いますが、いつの時代も挑戦をしない人が成功するはずもなく、挑戦もせず、失敗した経験がない人が人を育てられるのか、人の痛みを分かってあげることができるのかと良く感じます。会社を潰したり、死亡災害を発生させるような失敗は駄目ですが、これらを防ぐための条件はしっかり伝え、後は任すというやり方はできるはずです。

「失敗は活かせば教訓」です。学校のテストが全て100点だった人はいません。今回のオリンピックでも失敗をしないための練習をしても失敗をします。その差が結果ですが、失敗を次に活かしてこそ、心を揺さぶるドラマが生まれるのだと思います。失敗をしても人生が終わるわけではありません。人生にムダなことなど一つもないことが、今の私の年齢になると分かります。

(2) 労働災害も失敗の一つ

 労働災害がゼロになることはないと思います。ゼロに向かっていく活動は大切ですが、“まず”重篤な災害(になる要因を含む災害)をゼロにしなければなりません。「災害は、職場の問題の顕在化。災害は、職場の問題の代表特性」と言い続けています。災害に遭った人が「痛い思いをして問題を顕在化してくれた」のです。人事制度、教育のしくみと内容、設備の作り方と異常時の対応の簡素化、人間関係づくり、品質不良の多さなどなどが代表特性と言っている内容です。これら全ての課題へアプローチして改善して行く仕事が安全活動なのだと思っています。ともすれば、「やった奴が悪い」というネガテイブな対応をしていませんか。災害も失敗であり、どのように活かしていくか、深く考えねば失敗を活かすことになりません。真の再発防止活動とは何か?活かし方次第で結果が変わってきます。

(3) まず“減災”

 災害(失敗)は、人がいて機械設備があればゼロにはなりません(機械設備は壊れ、人はミスをすることが前提だからです)。リスクアセスメントの目的の一つでもある「程度のランクダウン」「重篤災害の減災」をめざしましよう。そのための活動は「兆候を観きる活動」と言えます。気付き、気がかり粗末にするな、気づいたら行動に移せ」と言ってきました。まず減災そしてゼロ災です。一つひとつのことを積み上げていくことが王道です。今回のオリンピックの教訓も同じでした。

 

  • イタリアでの冬季五輪だったので、報道では、メダルを取った人か、日本人選手中心にならざるを得ないのはやむを得ません。しかし、どれだけの人が努力して迎えた五輪かと想うと頭が下がります。選手から「今までお世話になった人、応援してくれた人に感謝、恩返し」と言う言葉が多く聞かれました。競技中は勿論、練習の時、相手を思い発する言葉がどれだけ選手を奮い立たせているか。私たちも日常の声かけで相手を思う気持ちを心がけたいものです。私の使っている言葉「“相”方向コミュニケーション」の肝だと思っています。
  • 今年も、3.11が来ます。大川小学校で亡くなった娘を持つ親(先生をしていた)が、語り部として活動している場面をTVでみました。「後から責めるのではなく、亡くなった先生、生徒の立場になって考えてください。そして教訓を活かし行動してください」と言っていました。「相手の立場に立って考えてください」重い言葉ですね。

 

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