ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2018年9月19日更新お客様との関係は恋愛に似ている?

 先日ある団体からマーケティングセミナーの案内が届きました。この手の案内は流し読みして大体すぐに削除して記憶から消し去ってしまいます(送ってくださる方には申し訳ありませんが…)。ただでさえ、脳の容量が加齢と共に小さくなって来ているのを感じるので、不要な情報はできるだけ入れずに、空きを増やしたいからです。ところが、この案内に書かれていた「顧客が離れてしまう本当の理由」と言うのが気になって詳しく読んでみたくなり、リンクをクリックしてしまいました。

 そこに書かれていた、「顧客が離れる本当の理由」とは「大切にされていないと感じるから」と言うものでした。実に全体の68%も占めるそうです。競合に流れるとか、サービスに満足しなかった、と言う理由はそれに比べると非常に低いようです。これにはびっくりしました。ビジネスなんだから、サービスの質やコストで決めていると考えていたからです。

 しかし、お客様も人間であることを考えると、これはごく当然のことかもしれません。はっきり言ってしまうと、技術も進歩し、世界からインターネットでいくらでも情報も入ってくる今の時代、どこの会社のどの製品もサービスもさほど大きな違いはありません。もちろん各社、得意・不得意はあるでしょうし、他社よりすぐれている製品も持っていると思います。

 それでも、ある会社がA社を使うようになったのにはそれなりの理由があるはずですから、急にA社からB社に乗り換えるというのは、余程の大きな不具合や切り替えによる明らかなメリットがない限り、ユーザとしては面倒でもあるし、精神的にも負担になります。A社のかわりにB社の製品を使ったからと言って、今までよりよくなる保証もありません。多少の違いなら、今付き合っている業者との関係を維持したいと思うのが人情です。担当者が「いい人」なら、とりあえず使い続けようと思うのではないでしょうか。

 ビジネス上の付き合いと言っても、やはり顔見知りの人に、できるだけ冷たいことは言いたくないですし、平和を保ちたいと私なんかは強く思ってしまいます。世の中には「そんなのは甘い、会社の利益が一番」とコストや性能で厳しく評価し、少しでももっとよいところがあればすぐに切り替える、と言う冷静(冷酷?)な社員も一定数いるのは確かですが。

 飛躍し過ぎかもしれませんが、これは業者との付き合いだけではなく、恋愛にも同じことが言えると思います。相手が自分を大切にしてくれている、と感じたら、多少のことには眼をつぶろうという気持ちになりませんか。それと同じで、自分のことを考えてくれているか、忘れていないか、お客様はきっと見ています。優秀な営業マンなら、お客様に定期的にコンタクトし、この「忘れていません。お客様が大切なんです」と言うメッセージを送っているはずです。何の連絡もないと、やはり「大切にされていない」という不満が少しずつ蓄積されていくように思います。

 また、相手に感謝の気持ちを伝えるのも大切ですね。「親しい仲にも礼儀あり」と言いますが、付き合いが長くなっても、この気持ちを忘れてはいけないと思います。若かりし日にうまくいかなかった関係を思い出すと、お互いに相手がそこに居るのが当たり前になり過ぎてしまった、なんて経験ありませんか。当然と思うと、相手に何かしてもらって心ではありがたいと思っても、つい「ありがとう」と言う言葉がでなくなったりします。でも、そのひと言やジェスチャーがとても大事です。

 少し本題から逸れますが、在米時代、顧客とサービスを提供する側は対等の関係ということをよく耳にしました。日本で「お客様は神様です」と聞いて育った世代としては、少し違和感を覚えましたが、そう思って暮らすと、日本人的感覚では不満だらけだったアメリカのサービスも腑に落ちたのです。真夏の40度近い日にエアコンが壊れて管理人に修理を依頼しても、週末は対応できないと週明けまで待たされても「確かに修理の人も週末は休みたいだろう。」と思って暑い部屋で水を飲みながらじっと耐えました。とにかくこの国で日本のように、苦情には即対応なんて言うことを求めてはいけない、と学習しました。

 スローサービス、スローライフでまあいいか、とそのうち気にもならなくなりました。現地での生活が長くなればなるほど、待っていればいつかは直してくれる、そんなに急いでどうするの?というくらい、意識が変えられてしまったのです。たとえスピードは遅くても、マニュアルどおりではないフレンドリーな対応がそのうち気に入り、かえって帰国後、堅苦しい言葉ばかりが丁寧な日本の接客に違和感を覚えたこともありました。先述のエアコンの修理がその後どうなったかと言うと、「この暑さの中で大変だったね。今すぐ見るから…」と言って修理の男性が来てくれて、無事直りました。もちろん笑顔とユーモアのサービスも忘れません。

 スタイルは違っても、やはり日本にもアメリカにも顧客目線で気持ちのよい接客とそうでない接客があります。どちらにも共通するのは、相手を「大切にすること」が重要ということです。相手の立場に立って思いやるということですね。ビジネスも恋愛も、相手が嫌になったらやめてもいい関係、という点でもこの2つは似ています。私も日頃ご愛顧いただいているお客様からサービスを提供する機会を与えていただいていることに感謝する気持ちを忘れないようにします。また思うだけではなく、その気持ちを伝えていきたいと思います。

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