2016年8月16日更新バイトテロはリスクの本質を物語る
皆さんがよくご存じであろう、アルバイト従業員が不適切な写真や有名人の個人情報をツイッターなどのSNSに投稿して批判が殺到する「バイトテロ」が社会問題化していますね。
たびたびニュースになり、解雇や退学、損害賠償など大変な結果を招くことはあまねく知られている「はず」なのに、なぜ後を絶たないのでしょうか?
ある調査によると、10~20代にバイト先で悪ふざけをしたことがある人は1割程度だそうです。つまり少数派なのですね。
問題はここからです。悪ふざけに限らず、SNSに投稿する際に、知人以外の人も見る可能性があることを意識しているか? との問いに「意識している」若者は8割を超える一方で、「あまり意識していない」「全く意識していない」若者も9%程度はいたのです。
リスクにはいくつか定義がありますが、リスク=「被害の大きさ」x「発生確率」という掛け算型が最もポピュラーです。これをバイトテロにあてはめると、「被害の大きさ」は広く理解されているでしょうし、経験がなくてもだいたい想像はつくでしょう。
問題は「発生確率」のほうです。人間は自分の利害を考えるとき、「認知バイアス」といって、どうしても都合よく確率を見積もりがちです(私は違う!というアナタ、人間が一生のうちに交通事故に遭う確率は65%という統計が出ていますが、外に出たら6割の確率で事故に遭うと意識して出かけます?)。
SNSに投稿する、先ほどの調査にあった9%程度のごく一部の若者たちは、被害の破壊力は理解していても、まさかそれが全世界に拡散するとは思っていないのです。
「まさか友達が拡散するようなことはないだろう」「仲間うちだけの設定にしているから大丈夫」など、都合よく決めつけて投稿してしまいます。そのため、厳罰化や教育などは先ほどの交通事故の例と同じく、ほとんど効果がないのです。つまり、リスクの把握には発生確率を正確に、というよりむしろ厳しめに見積もるくらいでいいかもしれません。
「じゃあどうするの?バイトテロはリスク要因で、雇用主はみんな覚悟しないといけないの?」
いえいえ、そんなことはありません。SNSを使っていないガラケーだけの若者、あるいは高齢者だけを雇用すれば解決です! 外国語が得意でない人が多い日本では、外国人バイトの外国語によるテロ投稿はあまり炎上しないと思われます。近頃コンビニに増えてきたこれらの方々は、人手不足だけでなくそういう背景があるのかも?
いずれにせよ、リスク対策はどの企業もタイヘンです・・・。
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