2017年4月19日更新「君の名は」だけではない!RADWIMPSの魅力
2017年3月8日、眠っていた私の感性の扉を“全開”にする“最強”のライブが行われました。舞台は横浜アリーナ。主人公はRADWIMPS。「ラッドウィンプス」という名前は知らなくても、一世を風靡した映画「君の名は」の音楽を担当したバンドと言えば、お分かりになるでしょうか。今やその人気は不動のものとなりました。
全楽曲の作詞・作曲を担当する野田洋次郎率いる男性5人(*正確には3人+サポートドラマー2名)のロックバンドと満員の観客が1つとなって、会場は感動と歓声の渦で沸き上がりました。
読者のみなさんはロックバンドのライブ、行かれたことがあるでしょうか。私は米国滞在中、ローリングストーンズのライブを経験し、帰国後はさいたまのU2のライブにもう10年ほど前に行ったくらいで、ライブ初心者です。日本のロックバンド(Jロック)は今回が初体験でした。
チケットの抽選にどうしても当たりたかったので、初回限定盤CDを購入し、先行予約の権利をゲットしました。そして、予約開始日の受付開始時間5分前からスタンバイし、申し込みボタンをクリック、見事に第一希望の横浜アリーナの指定席二枚を手に入れました )^o^(
ちなみにもう一枚はJロック上級者の太田先輩に差し出し、想定外の事態発生時のお助け役をお願いしました。
ここまで熱が入っているなら、ずっと前からファンだったと思われる方もいらっしゃると思いますが、実は、「君の名は」を見るまではほとんど知りませんでした。新海監督のたっての希望で選ばれたRADWIMPSというバンド。テーマソングの歌詞を参考にして作ったシーンもあると言われる野田洋次郎の歌の世界にはまり、曲をすぐにダウンロードしました。毎日通勤途中に聞くようになり、それだけでは足りず、そのうち息子が持っている音源も全部ダウンロードして、今までリリースされているほぼすべての曲を聞きました。
世代も違うこのバンドの何にそんなに惹かれたのでしょうか? ひとことで言うと幅広い音楽性と独特の歌詞です。音楽的には色々な要素を取り入れ、ワンパターンではないところが好きです。甘いバラード(♪25個目の染色体)からノリノリの曲(♪おしゃかしゃま)、ルパン三世のパロディの入ったユーモラスな曲(♪揶揄)、実験的な曲(♪アメノヒニキク)など、いろいろな引き出しを持っています。商業的に成功すると、同じことを延々とやり続けるアーティストも多い中、常に変化を恐れない勇気とチャレンジ精神を持ち合わせているところに脱帽します。なので、「Jロック界のストラビンスキー」と勝手に呼んでいます。
歌詞の方も、商品のキャッチフレーズ(♪有心論)から数学(♪最大公約数)、いじめなどの社会問題(♪ヒキコモリロンリ)、映画のワンシーン(♪前々前世)まで、本当にさまざまな素材、テーマを扱っています。多くの曲はまるで映画を見ているかのように、登場人物やその光景が目に浮かび、気が付くと完全に感情移入して惹きこまれてしまいます。ただし、公序良俗という観点から×の曲もあるので注意も必要です。
野田洋次郎さんは、12歳の頃から曲を書き始め、高校の時に横浜の高校生ロックコンテストでグランプリを受賞してインディーズデビュー(その会場は他でもない横浜アリーナでした!)。 その後、その比類なき才能を認められ、メジャーデビューを果たしています。バンドのギタリストの桑原彰くんは、野田さんの曲なら必ずいつか成功する、と確信し、高校をやめてRADWIMPSの活動に専念しています。自らの才能だけでなく、才能を見出し、サポートしてくれるメンバーや協力者にも恵まれたのですね。
横浜のライブで野田さんの独白と弾き語りで特に印象に残ったのは、「棒人間」という曲です。野田さん曰く、「テレビで、間違いを犯してしまった人がとんでもない奴だ、人間じゃない…みたいに言われているのを聞くたび、もしかしたら、自分がそうなっていたかもしれない、自分はそうならなかったことをありがたいと思う。」とコメントしていました。
「♪僕は人間じゃないんです。じゃあ、何かと言われましても、それはそれで皆目、見当もつかないのです…」
人間として無数の暗黙のルールに従って生きなければならない難しさや、周りの期待に応えられなかったり、空気を読めなかったりする人の生き辛さを淡々と歌っていました。きっと父親の赴任先のアメリカで過ごした小学校時代に経験した疎外感や、帰国後の逆カルチャーショックなど、そんな思いをしたのだろうな、と勝手に想像しながら、そして私の経験とも重ね合わせながら聞いていました。
著書「ラリルレ論」の中で、野田さんは男性でも女性でも必ず異性の部分を持っていると言います。そして彼自身、自分の中の女性の部分を意識しているそうです。それは彼のファッションへのこだわり(女装に近い衣装なども含めて)や歌詞の隅々に現れています。多くの女性が野田さんの歌詞に惹かれる理由、そして彼が女性にモテモテの理由は、彼が女心を理解しているからかもしれません。映画「君の名は」の中で滝君が三葉と入れ替わって急にモテモテになった時のような感じです。
「♪me me she」(私は最初ミー、ミー、シーと読んでいましたが、女々しいと読みます)では、別れる彼女に対する諦めきれない自分を女々しいと言っているのだと思いますが、そんな女々しさも魅力だと思ってしまうのは、私だけでしょうか。そして、今の自分を造ってくれた彼女への感謝の気持ちを泣きのギターをバックに歌います。最後の転調の部分まで来ると、本当に泣けます(T_T)
ちなみに、この曲のタイトルには自分(me)の半分しか彼女(she)を愛せなかったという意味も込められているそうで、野田さんの言葉を操るセンスにまた感心してしまいます。
ライブに話を戻しますが、あっと言う間に2時間が過ぎ、最後の曲も終わり、RADのメンバーがステージの袖に去って行きました。すると聴衆はデビュー曲「もしも」の大合唱でアンコールを求め、メンバーが応えてくれました。どうもこれがお約束になっているようです。
最後の曲は「有神論」ならず「有心論」。ファンなら誰もが知る名曲。大合唱と大喝采のうちに幕は閉じました。帰り際、太田先輩が何か興奮気味に私を呼ぶので、何かと思って見てみると、若者(男性)が気を失って倒れていました。ライブで燃え尽きてしまったのでしょう。ある意味羨ましくもありますが、無事帰宅できたことを祈ります。
あ~、本当に燃え尽きるようなライブでした。何年後かにまた、この場所でこのメンバーと再開できますように。(CS)
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