ピルツジャパンのブログ「裏ピルツ新聞」

2019年12月12日更新フランス人は結婚しない?

 フランス人は形にこだわらないから、結婚しないで同棲する人が多い、そう思っている人が多いようです。私もその一人でした。しかし、どうも私たちは誤解しているみたいです。弊社代表リジベル(フランス人)に、IIFESの打ち上げで真相を聞いて、初めてその事実を知りました。私たちがこの話をしている最中に、前の席に座っている別の社員からも私と同じようなコメントがあり、思わず私たちは顔を見合わせたのです。

 日本人がフランス人に抱くイメージは、自由恋愛を愛し、結婚という形に囚われず、好きな人と同棲し、子供ができれば一緒に生活し、関係が上手くいけばそのまま続き、上手くいかなければ離れる。そんな感じではないでしょうか。結婚という社会のシステムをフランス人は信じていないのだろう、と私は勝手に思っていました。

 リジベルによると、これは誤解だそうです。断っておきますが、フランス人100人に聞いた訳ではないので、以下の見解にはリジベルの主観が入っている可能性もあります。彼曰く、フランス人にとって、結婚(入籍)と結婚式および披露宴はセットであり、どちらかだけと言うことはあり得ないそうです。若いカップルはお金がなく、結婚したくてもできないケースが多く、そのまま同棲生活に突入します。そして、そのまま14年が過ぎたとしましょう。14年間も結婚と言う縛りがないのに一緒に暮らしているのですから、仲良く暮らしているのでしょう。その頃には、経済的な余裕もできています。その時点で、そろそろ結婚だね、と言う話になるそうです。つまり、結婚できる状態になれば、フランス人も結婚するのが普通だそうです。意外でした。フランス人も結婚と言う契約や儀式を重んじるのですね。

 事実婚に対する社会の目はと言うと、特にペナルティはなく、普通のことと捉えられるそうです。これは、イメージ通りでした。フランスで少子化対策が成功した一因として、婚外子も嫡出子と同等の権利を法律で認めていることが挙げられますが、社会が事実婚に寛容にならなければ、認められない制度のように思います。

 日本では、まだまだ事実婚は結婚に比べ、社会から認められていません。結婚と言う儀式を経て、初めて社会から公式なカップルとして認められます。親の財産を相続する際も、婚外子の場合、嫡出子の半分しか相続権がありません。しかし、最近これは不公平ということで、遺言状などがある場合、これ以外の相続も認められるようになったそうです。

 今回、フランスの結婚事情について知り、日本は今後どうなっていくのか考えさせられました。日本の若い女性の中には、敢えて結婚を選ばない人が増えています。理想が高い場合もあるでしょうが、自活する収入があれば、自由を捨ててまで結婚したいと思わないのかもしれません。2、30年前から比べると適齢期になれば結婚しなければならない、と言うプレッシャーは減っていると思います。それでもやはり、現在の日本では、まだ完全になくなっているとは言い切れません。

 10年後日本はどうなっているのでしょうか。家族と言うものがこれから段々変わってくるのかもしれません。LGBTのカップルや独身者が共同生活するコミュニティが今までの家族の役割を担い、生活の基盤となるかもしれません。血縁関係がなくても、互いに助け合うことのできる人間関係があれば、社会は成り立っていきます。

 最近、アメリカの辞書に単数形のtheyが載せられたという記事を読みました。性別を表すHeやSheではなく、男女を問わず使えるtheyを使うことが一般的に認められてきたからです(ちなみに単数形でも動詞は複数形と同じでThey isではなく、They areとなるそうです)。既婚、未婚を表すMrs. Missなどを避けて、Ms.が数十年前に生まれたのと同じ考え方ですね。何事も白黒をはっきりさせたいアメリカでも、そのようにグレーゾーンが認められるようになってきています。日本でも、個人の価値観は別として、性別も結婚も、これからは個人の自由という社会的価値観が次第に浸透していきそうです。

記事一覧

ページの先頭へ戻る