2018年5月15日更新懐かしのエスニックフード ~ 米国編・日本編
最近日本でも海外の食品が手軽に手に入るようになりました。ひと昔前は高くて手の出なかったものも、国産とさほど変わらない値段が付いていたり、場合によっては、国産よりも安く手に入ったりすることすらあります。
四国の高知で育った私は、渡米するまでは海外の食品なんて輸入品を扱っている数少ないお洒落な雑貨屋さんやレコード店(懐かしい響きです!)の立ち並ぶ高知の中心街にでも行かない限り、ほとんど見かけませんでした。種類も少なく、食材(パスタやご飯みたいなもののミックス)なんかはたとえ見かけても、作り方がわからず、「これ何だろう?」と不思議に思いながら手に取って棚に戻すしかありませんでした。
そんな私が19歳でカリフォルニアに渡り、半年が過ぎ、生活にも少し慣れて来た頃、まず驚いたのは、海外の食品を扱っている店が多いことです。ご存知の通り、アメリカでは世界各地から来た移民や留学生が暮らしています。どこから来た人もやはり故郷の食べ物が恋しくなるのでしょう。LA(ロスアンジェルス)に行けば、リトル東京やコリアンタウンなどがあり、そこではそれぞれの国のほとんどの食材を買うことができます。しかし、LAまではるばる高速を1時間以上運転して行かなくても、カリフォルニアにはアジアからの移民が多いせいか、どんな田舎町にも必ずと言っていいほど、「オリエンタルマーケット」と呼ばれる東洋人向けの食材屋さんがあるのです。
オリエンタルマーケットはその名の通り、日本だけでなく、中国、韓国、ベトナムなど、アジアのさまざまな食品を扱っています。幸い隣町に素朴な日系人3世夫妻の経営するお店があるのを、あるとき現地の日本人の知り合いから教えてもらいました。上級生になり寮を出て自炊を始めた私は、その店に毎週のように通っていました。食品だけでなく、そのお店では日本のテレビ番組を録画したレンタルビデオの貸し出しもやっていて、日本のトレンディドラマなどを借りてよく見ていました。日本で暮らしていれば、どこにでも手に入る食品や、ただで見れるテレビ番組も、海外では希少価値が出て特別なものになるから不思議です。
オリエンタルマーケットの店内は、今はもしかしたら違うのかもしれませんが(いや、たぶんあまり変わってないような気がします…)、田舎町のお世辞にもお洒落とは言えないお店ですから、コンクリートむき出しで薄暗く、これと言った工夫もないまま、さまざまな食品が雑に並べられています。日本のものだと、お米(日本からの輸入米は高いので、現地のカリフォルニア米)、調味料、即席ラーメン、お菓子などが売っていました。お菓子の定番はポッキーとかっぱえびせん。パッケージや商品名は日本とは違って、ポッキーはなぜかMikado(帝)でした!個人的にはポッキーの方がずっと美味しそうだと思うのですが…
当時私は、現地のスーパーでは売っていなかったお蕎麦(乾麺)や昆布、日本のスナック菓子などを買って、夏には気温40度近くにもなるカリフォルニアのアパートの1室で、もちろん冷房をキンキンに入れて週末のひと時を郷愁に浸りながらよく過ごしたものでした。昆布と鰹節で出しを取って作ったざるそばをすすりながら、「東京ラブストーリー」などを見ていると、自分も大都会でそんな恋ができるんじゃないか、と錯覚に陥りましたが、日曜の午後になると山のような宿題やレポート、ピアノの練習など、現実の世界に戻され、目の前の課題をこなすのに精一杯の一週間がまた繰り返されていくのでした。
時は流れ、帰国してもう20年も経ってしまいましたが、今度は逆にカリフォルニアが懐かしくなって、時々食べたくなるエスニックフードがあります。その食べ物とは、メキシコのジャンクフード、タコスです。(東京に住んでいるせいもありますが、最近は近所のスーパーでも材料が手に入るいい時代になりました!)カリフォルニアにはメキシコ人が多く暮らしているので、メキシコ料理はカリフォルニア料理に等しいと言っても過言ではありません。ひき肉に水と一緒に加えて煮ればいいだけのシーズニングミックス、トルティア(とうもろこしの粉で作った丸くて分厚い春巻きの皮みないのもの)、サルサさえ買ってくれば、あとはひき肉、野菜とチーズがあれば簡単に作れて手間もかからないところがいいんです。
これから暑くなるこのシーズン、喉越し爽やかなCoronaビール(ライムを入れて)と一緒にタコスを食べれば、暑さも吹っ飛びます。タコスはたんぱく質も野菜も取れてヘルシーなので、健康志向の強い人にもお勧めです。ひき肉を炒める時に余分な油はペーパータオルなどで拭きとってトルティアもソフトタイプを選べば脂肪も抑えられるので、ダイエット中の方にもお勧めします(糖質制限ダイエット中の方はトルティアを控えめにした方がよいかもしれません)。
タコスを美味しく食べるコツはトルティアにあります。トルティアについてこだわりの調理法を紹介します。トルティアはアルミフォイルで包んでオーブントースターであっためるとグッと美味しさが増すのです。カリフォルニアのちゃんとしたメキシカンレストランでは、必ず温めたトルティアが出て来ます。我が家では、1枚1枚フライパンで両面あっためて食べていますが、そこまでするのはこだわり過ぎ?かもしれません。
また、カロリーなんか気にしない、美味しいパリパリした皮に包んで食べたい、と言う方は、ひと手間かけてソフトのトルティアをサラダ油で揚げてお召し上がりください。耐熱のトングやお箸であの半円型に軽く押さえて揚げればよいだけです。市販の、油が酸化してパリパリ感のなくなった皮に慣れている人は、眼からうろこの美味しさです。私は手間もかからずカロリーも抑えられるソフトが好きですが、パリパリの揚げたてのトルティアは絶品です。誰かが揚げてくれるなら喜んでいただきます。
これを書きながら、すでに「今夜はタコス!」、とタコスモードに入ってしまいました。ピリ辛のお肉とサルサにチーズとトマトの甘み、シャキッとしたレタスとトルティアが奏でるハーモニー!あー、早く食べたーい。みなさんもぜひお試しあれ。
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