2024年6月12日更新学び直し
最近、松田聖子さんが中央大学法学部の通信教育課程を62歳で卒業…という記事を読みました。色々な有名人が中高年で学び直しにチャレンジしたという話を聞きますが、このニュースには驚きました。まず、卒業するまで、一切外部に漏れないように細心の注意を払って学んでいたという徹底ぶりから、本気度が感じられました。また、忙しい仕事の合間に課題に取り組み、難易度の高い学部を4年間で卒業されたことに同年代として励まされました。
1980年代に芸能人として一世を風靡した聖子さんは、彗星のごとく現れ、あっという間に人気ナンバーワン歌手になったことは、読者の多くがご存じの通りです。ファッションブランド設立、結婚、出産、渡米、離婚、再婚などを経て、最近では有名アーティストとの共演など、デビューから40年以上経った今でも話題が尽きません。
2021年12月には一人娘の神田沙也加さんが札幌のホテルの高層階から転落死したと言う衝撃的なニュースが流れました。聖子さんは2020年4月から通信課程に入学し、この痛ましい事故を乗り越えて、見事に学位取得されたのです。最愛の娘さんを亡くした悲しみを忘れるために勉学に取り組んだ面もあるようですが、試練を乗り越えて自身の目標を達成された聖子さんの意思の強さは素晴らしいと思います。
前置きが長くなりましたが、私も常々いつか学び直したいと思ってきました。聖子さんとほぼ同年代ですが、思うだけで実行には至っていません。いつも、仕事が、育児が、家事が忙しい、年齢的に記憶力や体力が低下してきた、などなど、色々な言い訳をして、その機会を逃してきました。そんな訳で、この聖子さんのニュースに感銘を受けたのです。
私が在米中の80年代、現地の大学にはすでに中高年の学生がチラホラ在籍していました。当時の私は、彼らを尊敬すると同時に、なぜ今さら大学で学ぶのだろう、と不思議でもありました。いくつになっても学びたい人には門戸が開かれている環境は素晴らしいことです。しかし、50代、60代の人が大学で学位を取っても、新しい職に就くのは難しいのではないか、という疑問があったからです。
今、自分がその年代になってみて、学び直しをする中高年の方々の気持ちがやっとわかるようになりました。人生100年時代、定年退職した後も、長く人生は続きます。そこで成長が止まってしまうのはもったいないです。技術は刻一刻と進化し、常識もアップデートされています。学ぶことをやめてしまったら、時代から取り残されてしまいます。学問に限らず、仕事でも日常生活でも、新しいモノや考え方を知り、自分を更新していかなければ、せっかく提供されている便利なものを使用することができず、チャンスを逃しかねません。数年前の常識は今では非常識かもしれません。
最近では、日本でも「生涯教育」を行う大学が増えています。さまざまな分野の授業が一般に公開されています。また、政府によって、仕事の技能を更新して新たな仕事への対応力を身につける「リスキリング」も推奨されています。もし経済的な余裕がなければ、インターネット環境さえあれば、無料でほとんどのことを学ぶことができるありがたい時代でもあります。
大学に行って、初めて本当の意味で学ぶことの楽しさを知った私ですが、小さな成功体験を積み重ねて、学ぶことはどんどん楽しくなっていきました。 自分の好きな事、興味のあることを学んで、わかった、できたという体験は自信にもつながりますし、もっと知りたい、できるようになりたい、と言う意欲が湧いてきます。「学び直し」もきっと、そのはずです。
具体的に何を学び直すか、と言うと、学生時代に学んでから放置してきた音楽理論やピアノに、もう一度じっくり向き合ってみたいと思っています。聖子さんに見習って、私も一念発起してみようかと心が動き始めています。読者のみなさんも、「学び直し」をしてみたいことはありませんか。そんな方は、今がその時かもしれません。この夏、始めてみませんか。
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