ピルツジャパンのブログ「月刊 裏ピルツ新聞」

2018年9月19日更新バカンス効果

先月、とある集まりで色々な方と話をしていると、「夏休みはいつ取るの?」と夏休みの予定が話題になりました。そこにいた日本在住フランス人の方は、堂々と「3週間休みを取る」と言っていまして。そして、なぜ3週間必要なのか説明をしてくれました。

「最初の1週目は仕事を忘れるため、2週目にようやく夏休みを満喫し、3週目は翌週から始まる仕事について考えるため」だそうです。きっと十八番のジョークなのでしょう。しかし、やはりフランス人の夏休みは長いなぁ、としみじみ。

フランス人は4週間お休み取るのが当たり前みたいですね。ピルツ本社のドイツ人同僚たちの様子では、3週間休む人もいれば、2週間ほどの人も。一度にではなく分けているようなので、合わせたらちゃんと4週間とっているのでしょう。意外にアメリカでは1~2週間、というのが個人的に感じたところです。

ドイツ本社へ出張で行くと、いろんな国から同僚が集まっていて、そこで「日本では、何日間夏休みがあるのか?」と聞かれることがしばしあります。そこで「うちは5日間だよ。前後の週末を合わせれば9日間になるけど」と答えると、大抵の場合驚かれます。そして「日本の有休はそんなに少ないのか?」と誤解されるのです。

ちゃんと誤解を解くべく「別途、有休休暇もある」と付け加えるのですが、そこでまた大きなハテナマークが。「では、なんで有休があるのに、夏休みを1週間で終えてしまうの?」と。韓国は日本と似ているようなのですが、他の国の人は、有休があるのにそれを使って夏休みを長くしないことに少々疑問の様子です。

つい「バケーション」や「バカンス」という言葉に、“リゾート地で過ごす休暇”のイメージを持ってしまうのですが、英語の「バケーション(vacation)」は、フランス語の「バカンス(vacance)」という言葉から来ていて、そのフランス語自体の意味は「留守にする」「欠勤している」「いないこと」なのだそう。

英語に「vacant(ベイカント)」という「空いている」「空っぽの」という単語があるので、ナルホドと思いました。バカンスとは、リゾート地での休暇とは限らず、【日常生活から離れ、留守にしていること】なんですね。Wikipediaでは「フランス人の長期休暇の過ごし方、もしくはそれを意識した長期休暇の呼称」と出てきました。もう代名詞なのです。

フランス人の休暇は、一ヶ所に長期滞在をして、忙しく観光したりはせずに、のんびりと本を読んだりして過ごすそうです。慣れ親しんだ場所に毎回行くことも珍しくないようなのですが、たしかに、初めての土地だと勝手が分かるまで労力を要しますから、慣れている土地だとその点も楽ですよね。

あるフランス人ライターのブログに、バカンス(=フランス式長期休暇)とはどういうものか説明があり、それを読むと、私にはとても魅力的で共感できる点がいくつか、というより沢山あったんです。

  • 旅行先にあまり物を持って行かない
  • 行った先でやることの目的をあまり持たない(あれしなきゃ、これしなきゃ、という休みは、結局のところまったく休めていない)
  • 旅のスケジュールは詰め込まず、シンプルに
  • 誰もがやるメジャーなことはあえてやらない(観光名所めぐりなど)
  • 日常から離れると問題点も見えてくる。脳が自由になり、クリエイティブになる
  • 脳が現実モードから妄想モードに切り替わり、心身とも完全にリフレッシュすることができる
  • おかげで、バカンスが終わりに近づき、妄想するのに飽きたとき(そういうときが絶対来るとのこと)、また現実や社会に新しい姿勢で挑みたくなる

 

このような休暇の過ごし方に、私はすごく頷けました。もう暇だと思えるくらい何もしないでいると、普段気づけないことに気づけたり、無性に動きたくなったり、新たに頑張ろう、って思えるのが共感できます。

皆さんそれぞれ好きな休暇の過ごし方があるかと思います。私の場合、たとえ短期であっても、日常を離れて頭を空っぽにできる(予定を詰め込まずにノンビリできる)休暇の過ごし方が、心身共にリフレッシュできる自分にとって一番の休暇だと思っています。

もしも私が機械だったら、オーバーホールしてもらった、みたいな感覚でしょうか。毎回そんなバカンスができてるわけではありませんが、これに気づけて良かったと思っています。もちろん最初からこの心境に至ったわけではありません。

いまから15年ほど前、当時私はアメリカのインディアナで働いていました。アメリカは祝日の数が日本よりも少なくて、ゴールデンウイークなる大型連休もありませんし、けっこう休みが少ないと感じていました。ですので、待ちに待った祝日による三連休がくれば「こんなチャンスは今だけだ」とばかりに、どこかへ旅行していたものでした。

それまでの自分の中では、日常生活から離れる休暇といえば「旅行=観光」。旅行中はたくさん歩き回り、訪れた土地のモノを見まくって、写真を撮りまくって、そしてけっこう疲れる。それが旅行であり、休暇の達成感だと思っていました。ですが、そんな小旅行を経験していくうちに、せっかくのお休みをクタクタになって終えるというのはどうなのだろうか?という疑問が。

頑張って回った観光スポットも、休暇が終わりしばらく経てば日常生活の中でどんどん忘れていってしまう、たくさん撮った写真も見返す時はほんのたまに、世の中には見てみたいモノ・感動するモノが無限にあり、本当にキリがない。。。実際、有名どころを見逃してしまった時でも、実はそこまで残念ではなかったのです。

それよりも何か1つや2つ、やりたかったことをじっくり味わえて、のんびりする要素のある休暇の方が、その自由やその時間に対して、贅沢さやワクワクを感じるようになりました。予定をあまり立てずに旅に出るのは、もともと「行き当たりばったり」が好きなので、自分の性格に合っていました。

「普段行けないようなレストランで極上ステーキを食べる」「クラシックコンサートにドレスで出かけてみる」「ディズニーワールドでパークに行かずにゴルフコースに出てみる(付き添いで)」といった、自分にはとっても非日常的なことをして、後はのんびり過ごせれば、たとえ3連休の週末でも最高の休暇となりました。

あれが一番フランス式に近かったのかな?というバケーションがあります。インディアナからフライトでフロリダへ2時間、そこから1時間で行けるカリブ海のバハマへ一人旅で行ったことがあります。そこでは最高に青い海を目の前に、ビーチで読書と散歩だけをして過ごしました。下に載せた写真のスポットで、飽きるほどに。

本当はマイケルジャクソン御用達のホテルへちょっと足を運んでみたかったのですが(笑)、あの何もしないという贅沢と、あの海の青さは今でも忘れられません。何もしなかったのに、こんなに思い出深く残っているなんて。

今年はリフレッシュ休暇と併せて長めの夏休みをいただきました。ゆっくりできて大変有難かったです。日本で暮らしていると、何故だかせわしなさに流され、そして、お休みもどちらかと言うとイベントや用事、観光モードになってしまいがちなので、インディアナ時代のバケーションとバカンス効果を思い出して、時々は頭カラッポ&リセットするお休みをとっていきたいな、と思います。

 

 

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